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そうさく畑FINAL

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イベントレポート

 さて、どこから書きましょうか(笑)。
 ことあるごとにそうさく畑への思い入れを語っていますが、参加回数は3回だけです。ですが、想い出補正も相まって、そうさく畑は私に大きな影響を与えたイベントだと思っています。もちろん、想い出そのものもたくさんあります。懺悔も含めて少し書き出してみましょう。
 それにしても、ちょっと過去のことを調べたくて2004年の日記とか読んでみたんですけど、あれはヤバイですね。まさに黒歴史。

 たった二回の参加でしたが、いろいろなことがありました。私のサイトを「そうさく畑」で検索すると、44件もの記事が引っかかることからも、私の中で「そうさく畑」がいかに大きな存在だったかわかります。群馬に住んでいた頃、東京16に参加しようと思っていなければ、今の私はなかったと思います。

 東京18で東京の「そうさく畑」は終了し、ケイ・コーポレーション(赤ブーブー等の親会社)支援でのイベント「HATAKET」(創作作品が一作品だけあれば参加できるオールジャンル同人誌即売会)が開催されましたが、それ以降、東京都内での「そうさく畑」や「HATAKET」は開催されることなく、もう一度参加したいと思いながらも、あっという間に12年という月日が流れました。
 その間、ケイ・コーポレーションによる「そうさく畑」についていろいろ意見があったり、ついにはケイ・コーポレーションに運営権が移ったり、スタッフが統合されたり、2014年の「そうさく畑収穫祭」を最後に開催されなくなったり、2015年にその運営権がそうさく畑準備委員会へ戻ったり、といったやりとりがあったのは、関西で参加していた方や、氏に近い方の方がご存じだと思うので割愛します。私自身も、その辺りの経緯はネットで見聞きした程度ですので。

 そして2015年10月23日、武田圭史さんが亡くなったことが発表され、参加どころか開催されることすらなくなってしまったということに大きなショックを受けました。SNSではそのことに触れることができましたが、あまりの出来事に日記に書くことはできず、今年の8月になってようやく日記を書くことができたほどです。

 しかし、2015年12月10日、「そうさく畑FINAL」の開催が告知され、12月21日にその概要が発表されました。
 2016年11月6日、開催地「神戸」。
 これほどまでに今の境遇を恨んだ事は無かったでしょう。前日の5日は仕事ですし、イベント翌日も仕事です。そもそも岩手県からの参加です。
 今でも東京に住んでいたら、迷うことなく参加していました。最寄りの新幹線の駅にたどり着くまで2時間、そこから東京まで3時間、さらにそこから2時間と、乗り継ぎを考慮すれば8時間の大移動です。当日の移動では間に合いません。有休を取って前日から移動する必要がありますし、イベントが終わった後に移動しても岩手までたどり着けないので、東京あたりで一泊する必要があります。二泊三日、往復の新幹線込みで最低6万円。もちろん、コミケに飛行機で参加している人に比べたら微々たる金額ですが、大きな出費である事には変わりありません。
 イベントの参加は最後の最後まで悩みました。郵送でのイベントが締め切られる頃になって、ようやく心の中で決着がつきました。
 「参加しよう」と。
 参加を決断した理由はいくつかありますが、大きなものは二つです。

 やはり、前者の理由が大きいですが、後者もそれなりのウエイトを占めています。

 決めてしまえば後は早いです。
 サークルカットと言えるかどうか不明なカットを作り、オンライン締め切り一週間前に申し込みを済ませ(畑と言ったらシャッフルでしょう、ということでシャッフル配置で申し込み)、神戸市内のホテルが壊滅状態だったため明石にホテルを取り(今年、大阪から明石まで電車で移動したので躊躇無く決断できた)、新幹線の切符を取得し、本を増刷して宅配で送り、あると思っていたのに在庫が0だった本を急遽増刷するといった経緯を経て、いよいよ「そうさく畑FINAL」の会場へと向かいます。

会場へ

 朝、ホテルの朝食。隣の席の人が一挙一動に鼻息、犬食い、髪の毛かきむしり、スマフォいじり、音を立てて飲むなどと、ほぼフルコンボを達成してくれたので、悪運はすべて使い果たしました。これはいいイベントになりそうです。
 西明石から見てJR三ノ宮駅の一駅手前である神戸駅で間違って降りてしまうと言うファインプレーを挟みつつ、神戸国際展示場へと向かいます。

ビッグサイトと同じようにモノレールで海を渡ります
α6300(ILCE6300) + SEL1670Z(Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS)
1/125sec, F8.0, ISO250, 24mm(35mm equivalent focal length)
Development in Adobe_Lightroom

 神戸国際展示場は東京ビッグサイトと同じように人口島の上にありますので、モノレールで移動します。

神戸国際展示場(3号館)の写真
α6300(ILCE6300) + SEL1670Z(Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS)
1/125sec, F830, ISO200, 24mm(35mm equivalent focal length)
Development in Adobe_Lightroom

 最初で最後であろう神戸国際展示場の写真。
 玄関の前にはすでに一般参加者の方が列を形成していました。エプロンを着けているスタッフさんの案内でサークル入場口へ。サークル参加者はパンフレットは自由購入ですが、もちろん購入します。ついでに缶バッチとアクリルキーホルダーもゲット。パンフレットは懐かしのA5サイズ。表紙の紙は東京で使っていたのと同じかな。裏表紙にはちゃんと名前を書く欄もあります。
 そんなカタログの肌触りを味わいつつ、会場の中へ。見本誌図書館の作りが昔と全く変わっていなくて感動すら覚えます。ただいま、そうさく畑。
 見本誌図書館を見つつ、自分のスペースへ移動。隣のサークルがすでに設営を始めていたので、挨拶しつつ荷物を下ろします。今回は人生二度目の宅配搬入でしたので(最初は自力搬入しようと思いましたが、写真集の重さと大きさに心折れました)、受け渡し場所で荷物を受け取り、いよいよ設営開始です。

在庫がある本は全て持ち込みました
α6300(ILCE6300) + SEL1670Z(Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS)
1/125sec, F8.0, ISO3200, 31mm(35mm equivalent focal length)
Development in Adobe_Lightroom

偶然でしょうけど誕生日席をいただいたので、側面パネルを用意しました
α6300(ILCE6300) + SEL1670Z(Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS)
1/125sec, F8.0, ISO6400, 27mm(35mm equivalent focal length)
Development in Adobe_Lightroom

 書籍紹介の帯をそうさく畑仕様に入れ替えたり、見本誌図書館用とスペース用の見本誌を用意したりしている間に開場8分前。なんとか、設営完了しました。
 そうさく畑FINAL、いよいよ始まります。

イベント百景

FINALの終わり

 余った頒布物、購入した同人誌を段ボールに詰めて宅配へ。片付けの始まる館内の写真を撮っていると、「いい想い出にして下さい!」と声をかけられます。

もう二度と見ることもできないそうさく畑の図書館システム
α6300(ILCE6300) + SEL1670Z(Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS)
1/60sec, F4.0, ISO500, 43mm(35mm equivalent focal length)
Development in Adobe_Lightroom

 はい。
 いい想い出です。

 宅配搬出を済ませ、寄せ書きに思いを書き殴り、「終わってしまった」という実感がわかないままフラフラと駅まで歩き、来たときと同じようにポートライナーに乗り三宮駅、地下鉄に乗り換えてJR新神戸駅まで移動して、予約していた新幹線でホテルを取ってある東京まで戻るのでした。

新幹線で飲む生ビール
α6300(ILCE6300) + SEL1670Z(Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS)
1/125sec, F4.0, ISO2500, 30mm(35mm equivalent focal length)
Development in Adobe_Lightroom

 武田さんへ、献杯!
 そして、ばかやろー!!

 こうして、最後の「そうさく畑」、「そうさく畑FINAL」は終わったのでした。

終わりに

 「そうさく畑」は今回が最後です。かつて「そうさく畑」を武田さんとともに開催していたスタッフが集まって開催されましたが、文字通りFINALなのでしょう。
 トークライブの方で、「武田イズムがきつすぎて誰も引き継げない」、「そうさく畑の歩き方(サークル紹介誌(=パンフレット)と同時に配られる、武田さんが気になった同人誌やアンケート結果などを紹介するペーパー)を武田さん以外の誰が引き継ぐのか、他の人が引き継いで価値があるのか」といった話題が飛び出たようで、結果的に武田さん以外にそうさく畑を引き継げる人がいない、故にそうさく畑FINALの開催に至ったようです。
 そうさく畑東京18(HATAKETになる前の最後のそうさく畑)のサークル紹介誌の中で、武田さんはこの様に書いています。

(そうさく畑を次回からケイ・コーポレーションの業務として行うことに触れた後で)
 中には「企業化?」と思う方もいるかもしれないが、肝要なのは運営母体がプロかアマかというような問題ではなく「そうさく畑」という場が、その意志を、その魂を示し続けることができるかどうかなのかだと思う。
 そのためには、我々だけでは話にならない。「畑」という存在、もしくは「創作」というジャンルを胸の内に抱いている参加者の皆さんの協力なくしてあり得ないことなのだ。そう。「そうさく畑」というイベントが持つ独特の色合い、空間は、主催者の手のみによって形作られたものではない。そこに集った全ての参加者達が持ち寄ったパズルのピースのごとき一片一片が、集い、形作った物が「そうさく畑」なのだ。
 つまり貴方たちがいる限り、意志ある「存在」としての「そうさく畑」は終わらない。それは忘れないでいてやってほしい。

 私がいなくても「そうさく畑」は終わらないというニュアンスがある一方で、もし「そうさく畑」が終わっても、貴方の心の中にその魂は残り続ける、そんなニュアンスに私はとらえました。「そうさく畑」よ、永遠に。何十年後になるかは分かりませんが、黄泉ケットでお会いしましょう。

 場としての「そうさく畑」は終わりました。ですが、魂としての「そうさく畑」は、参加した全ての人の心の中に宿っているのだと思います。
 「そうさく畑」を生み出した武田圭史さん、武田さんと一緒に「そうさく畑」を共に作り上げてきたスタッフの皆さん、今回の「そうさく畑FINAL」のために集まったスタッフの皆さん、本当にどうもありがとうございました。そして、「そうさく畑FINAL」に参加して下さった全ての参加者の皆さん、いい想い出をありがとうございました。

初出: 2016年11月20日
更新: 2016年11月20日
著作: 鈴響雪冬
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