被災前の美しい景色の写真、地震や火災が町を襲う写真、被災直後の写真は、新聞社、自衛隊、自費出版など、様々なところから出版されています。そして、三陸の書店はもちろん、道の駅や土産物店には、必ずと言っていいほどこれら本やDVD・BDを取り扱ったコーナーが設置されています。大きな書店であれば東北から遠く離れていた場所でも手に取ることができるでしょう。
それでは、「今」はどうでしょうか。
町民や技術者が一歩一歩進む姿を、どれだけの人が知っているでしょうか。
「今」はなかなか伝わりません。伝えてくれる人もほとんどいません。
この本は、そんな「今」を750枚の写真で綴った大槌町の復興記録写真集です。
7年の月日が流れ、メディアから姿を消しつつあるその姿。
忘れたいと思う人、思い出したくない人がいる一方で、「今」を知りたい人もいます。ですが、その人はどうやって「今」を知ればいいのでしょうか。
知りたいのに、伝える人がいない。
それなら趣味で現場の写真を撮り続けている私が本にしてしまおう。そんな思いでこの写真集を作りました。
町方地区は大槌城や大槌代官所が設置されていた時代もある大槌町の中心市街地です。その町方地区の復興の様子を1年にわたって撮影した写真を収録しています。
メインコンテンツとして、2017年度の復興記録写真を537枚収録しています。
また、シリーズの総まとめとして、5箇所の定点観測写真、JR山田線の復旧模様、年表などについては2015年~2018年度分を収録。さらに、2018年度の写真も収録し、最新の動向までをカバーしています。
私は工事の専門家ではありませんが、可能な範囲で作業内容や進捗状況をキャプションとして記述しました。
現場写真については、上町、本町・大町、末広町に分け、それぞれ月別に整理。ページをめくるごとに復興が進んでいく構成になっています。
「まちづくり」とはなんだろうか。
私は、「住民主体、または住民と行政が一緒になって行う、生活をよりよくするための継続的な活動」が「まちづくり」であると考える。
復興事業に限らず、面的なインフラ整備、宅地整備というものは生活の舞台を整えたり生活を豊かにするものであって、「まちづくり」のほんの一部に過ぎない。そこに人々が生活し、課題を見つけ、それに立ち向かっていくその一連の流れ、その過程で生み出される文化や景色が「まちづくり」なのである。
では、「復興」とはなんだろうか。
復興を「元の生活に戻ること」「人々の営みが安定すること」と定義するならば、やはり復興事業はその基盤を用意したに過ぎない。基盤が整備され、人々がその上で生活し、そこに新たな文化や景色が生まれる。そうしてようやく復興は終わるのだ。
復興事業は「復興」のほんの一部に過ぎない。しかし、確かにそのために人は知恵を絞り、重機を操り、山を切り崩し、土を盛り、新たな生活の場所を築き上げた。ここから真の復興が始まるのだ。
この写真集は、大槌町が、そこに住まう人々が、そこに関わる技術者が、歩んできた道を記録した写真集である。
A4・170ページ・オールカラー・3000円
ジャンル | 情報・評論(写真集) | |
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発行日 | 2018年11月25日(COMITIA126) | |
仕様 | 頒布価格 | 3000円 |
大きさ | A4縦 | |
ページ数 | 170ページ | |
作者 | 写真 | 鈴響雪冬 |
文章 | 鈴響雪冬 | |
装幀 | 鈴響雪冬 | |
印刷・製本 | 表紙 | 4色フルカラー |
本文 | 4色フルカラー | |
印刷・製本 | 株式会社グラフィック | |
印刷方式 | オンデマンド印刷 | |
製本方式 | 並製本・無線綴じ |
岩手県大槌町が東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から復興していく姿を追った写真集です。
写真集の本編となる2017年度の写真を537枚収録。
目次 | 収録範囲 |
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上町、本町・大町、末広町 | 2017年4月~12月、2018年3月 |
末広町よ市 | 2017年8月12日 |
信号機設置 | 2018年2月22日 |
定点観測やJR山田線の様子などを217枚収録。
目次 | 収録範囲 |
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おしゃっち(上棟式) | 2017年10月7日 |
おしゃっち(オープン) | 2018年6月10日 |
JR山田線復旧工事 | 2017年6月~2018年10月 |
2018年度の大槌 | 2018年4月~10月 |
定点観測 | 2015年~2018年10月 |
パノラマ | 2015年3月~2018年10月 |
大槌町役場旧庁舎 | |
大槌の歩み(年表) | 2013年1月~2018年3月 |
大槌の景色 |
この写真集は個人製作の同人誌です。大槌町、都市再生機構、町方復興CMR、大槌復興CMR、各種施工業者の業務や職員とは一切関係ありません。業務の妨げとなりますので、各所への問い合わせ等はおやめ下さい。
問い合わせについては当サイトのメールフォームよりお願いします。
この同人誌は以下の図書館等で閲覧や貸し出しができます。開架場所は2019年11月7日時点の情報です。最新の情報は各図書館のOPACをご利用下さい。
ページ | 誤 | 正 |
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83 | 北西方向からおしゃち方面を見る。 | 北西方向からおしゃっち方面を見る。 |
88 | おしゃっちの屋根の部分。意匠を凝らした頬杖が印象的。 | おしゃっちの屋根の部分。意匠を凝らした方杖が印象的。 |
144 | 2016年6月10日:上下水道管の埋設工事が進む。 | 2016年3月23日:上下水道管の埋設工事が進む。 |
146 | 144(右下のページ番号) | 146 |
146 | 2018年2月22日:(中略)5月にはIBCジオチャリティミュージックソンに | 2018年2月22日:(中略)5月にはIBCラジオチャリティミュージックソンに |
147 | 145(左下のページ番号) | 147 |
津波は庁舎前で災害対策本部を設営するなどしていた職員たちに容赦なく襲い掛かり、逃げ切れなかった28人と、役場に向かう途中などの11人を合わせた39人が犠牲になったと記述されている。これは町の第三セクターである大槌町畜産振興公社職員1人が含まれていない人数である。本作では「職員ら」と表記しているため誤りではないが、「生きる証」に掲載されている人数と違いがあるため補足する。
ページ | 誤 | 正 |
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144 | 2016年6月10日:上下水道管の埋設工事が進む。 | 2016年3月23日:上下水道管の埋設工事が進む。 |
146 | 144(右下のページ番号) | 146 |
146 | 2018年2月22日:(中略)5月にはIBCジオチャリティミュージックソンに | 2018年2月22日:(中略)5月にはIBCラジオチャリティミュージックソンに |
147 | 145(左下のページ番号) | 147 |
既知の誤字はありません。
「生きる証」での記載を受け、156~157ページの表記について下記の通り修正を行った(後半の変更は文字数調整によるもの)。
ページ | 変更前 | 変更後 |
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156~157ページ | 当時の町長や幹部職員(課長11人中7人)を含め40人の職員らが犠牲になった大槌町役場旧庁舎。様々な経緯を経て解体が決定しているが、手続き上の不備があり、2018年10月現在、解体工事は止まっている。 なお、解体をめぐって「おおづちの未来と命を考える会」が震災の教訓を後世に伝えるための社会的・文化的価値の評価・検証と現場保存を求めて住民訴訟を行っている。改めて震災検証を求める声、解体を望む声、保存を望む声、なぜ旧庁舎だけ特別扱いするのか、など、様々な声がある。 ※1954年竣工。2014年に増築部分が解体され、現在残っているのは正面の庁舎のみ。2階の天井まで津波が押し寄せた。 |
当時の町長や幹部職員(課長11人中7人)、畜産振興公社職員1人を含む40人の職員が犠牲になった大槌町役場旧庁舎。様々な経緯を経て解体が決定しているが、手続き上の不備があり、2018年10月現在、解体工事は止まっている。 なお、解体をめぐって「おおづちの未来と命を考える会」が震災の教訓を後世に伝えるための社会的・文化的価値の評価・検証と現場保存を求めて住民訴訟を行っている。解体・保存のみならず、再検証の必要性、旧庁舎だけ特別扱いすることへの疑問など様々な意見がある。 ※1954年竣工。2014年に増築部分が解体され、中央棟のみ現存。2階の天井まで津波が押し寄せた。 |