Top > ウェブ公開作品 > 小説 > 長編小説 > 丘の上の物語 > 白川蓮 -プロローグ-
春がすぐそこまで来ていた
街を覆っていた雪も解け
あたりは新緑の緑に包まれ
桜の木にもつぼみが芽吹き始めている
すべては春の訪れを感じさせている
俺達はそんな中学校までの坂道を歩いている
「また、少し暖かくなったんじゃない?」
隣を歩いていた蓮が俺の顔をのぞきこんだ
前髪がさらさらと風に揺れている
「もう春だね」
もう1度蓮が俺に尋ねる
「そうだな」
俺の反応に何がおかしいのか蓮がくすっと笑った
暖かい日溜りの中の見なれた景色…
いつもの朝がそこにあった
だけど…
ことしの春は…
何かが起こりそうな…
そんな気がしていた…