丘の上の物語 -水瀬千夏ストーリー-

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水瀬千夏 エピローグ

6月11日 (木曜日)

「よぉ、久川」
オレは久川の教室の目の前にいる。
「どうしたの、皆そろって」
俺の後ろには蓮と薫と晶と稔。
「明日、水瀬先輩の誕生日だってね?」
「えぇ」
蓮と久川の会話。
「それで、僕達で誕生日会を開こうと思って」
「場所は俺の家」
「へぇ~いい考えじゃない」
稔とオレの意見にに久川も賛成する。
「それで、今から買出しに行こうと思って早苗も誘ったんだ」
「いいわよ。それじゃあ、手分けして買った方が早いわね」
「そういうと思って、既に係り分担をしてあるよぉ~」
晶の自慢そうな顔。
「蓮ちゃんと薫ちゃんは食料。僕と久川と稔はパーティーグッズ。修司は単独行動」
「その単独行動というのが怪しいわね」
「オレにも色々と事情があるんだよ」
「まぁいいわ。それじゃあ行きましょう♪」
《オーッ!》
そう言うと久川は鞄から帽子を取り出した。
淡いピンク色の帽子。
何処かで見覚えのあるデザインだった。
 
オレは商店街のあの店に向かっていた。
あのオルゴールを買った店。
オレは中に入る。
「おじいさん」
あの時のように読んでみる。
「は~い」
店の奥からおじいさんが出てくる。
「おっ、この間の修司君…だったかな」
「あっ、はいそうです」
「所で今回はどんな用事で」
「えっと―――」
オレは店を出た。
手にはプレゼントの袋を持って。
 
 
 
 
 
6月12日 (金曜日)
《誕生日、おめでと~~~~~!!》
『パンパンパン』
「ありがとうございます」
俺の家での誕生日会。
皆楽しくやっているようだ。
いま、季節が入れ替わる。
春から夏へ…当たり前のようなこと。
当たり前のような日常。
だけど…少しづつ変わりながら日常は繰り返していく。
だから飽きることなんてない。
オレはこの先…一緒に歩いていく人を見つけた。
そして、その人はいま目の前にいる。
はじめの出会いは最悪だった人…。
だけど…今は…。
「はい、これ誕生日プレゼント」
「修司さん…ありがとうございます」
「いやこのぐらい当然だろ」
「それでも、ありがとうございます」
「ほ~ら、修、見せ付けないで~」
「ほんと、妬けるわね」
「修司、鼻の下伸びてる」
「修司君って…意外と…」
「しーくん、よかったね~♪」
「おいおい、お前ら…」
いいんじゃないか?
こんな調子で…。
これがいつも通りのオレ達二人。
…。
これから…面白くなっていきそうだな、千夏。
「私の顔になにかついてますか?」
「いや、なんでもない。これからもよろしくお願いします」
「はい♪」

初出: 2002年8月15日
更新: 2005年8月20日
企画: 二重影
原作: 鈴響 雪冬
著作: 鈴響 雪冬
制作: 鈴響 雪冬
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