Top > ウェブ公開作品 > 小説 > 長編小説 > 丘の上の物語 > 水瀬千夏 -第三章-
カーテンを通りぬけた朝の陽射しが部屋を照らし出す。
「う~んっ」
オレは大きく伸びをするとベッドから起きあがった。
『ガチャ』
「起きてる~ぅ?、っと、起きてるみたいだね」
「ああ、おはよう」
「うん、おはよう。朝ご飯準備できてるから早く着替えして降りてきてね」
「おう」
『ガチャ』
今度はドアがしまる音。
さっさと着替えをしてしまいますか。
そういえば、今週は明日も授業があるのか…。
そんなことを考えながらいつものように着替えを済ませると一階の居間へと行く。
「はい」
「おっ、サンキュー」
蓮から朝ご飯のサンドイッチとコーヒーを貰う。
あっさりとした苦味がのどを通っていく。
「ふーっ。ご馳走様」
「どういたしまして」
「それにしても、いつもよりゆっくり時間が流れてる気がする」
「それはね…」
蓮が意味深ないい方をする。
「いつもより修が20分も起きるのが早いからだよ」
「マジか?」
「うん」
…
じゃあなんで蓮はあの時間に起こしにきたんだ?
オレはあえて聞かないことにした。
なんとなく怖い気がする。
「ほら、なにボーッとしてる。早くしないといつもになるよ」
「それじゃあ、行くか」
「うん」
朝、いつもより早く家を出る。
蓮と並び、いつもと同じようにいつもと同じ道を通る。
坂の手前まできたとき…。
「あれ?」
「ん?どうした?」
「修、あの前、歩いてる人って、水瀬先輩じゃない?」
「う~ん…。オレにはわからん」
「え~っ、よくみてよ~」
そう言っている間に俺達は先輩に近づいていく。
「あれ?坂の前で誰か先輩に話しかけてる」
先輩までの距離がだいぶ近づいた頃、蓮が言った。
「じゃま…しない方がいいな」
そこまで来てオレはやっと水瀬先輩だとわかった。
「うん、そうだね」
オレ達は先輩を追い越した。
他の人達よりオレ達の歩くペースはちょっと速い。
「あれ…あの…」
その時、後ろから呼びかけられた。
「おはようございます、水瀬先輩」
蓮が振りかえって挨拶をした。
おはよう、と、オレも続く。
「おはようございます」
先輩も返す。
「千夏、この人達誰?」
「この間話した、蓮さんと、修司さん」
「あっ、なるほどね~」
「水瀬先輩?この方は?」
「この方が、咲苗さんです」
「あっ、この人が…」
蓮は納得したようだ。
「はじめまして、蓮さん。…蓮、でいいかな?」
「こちらこそはじめまして。うん、蓮でいいよ」
「はじめまして、白河くん」
「あっ、はじめまして。…咲苗さん?」
「私の呼び方はどうでもいいよ。でも“さん”とか“先輩”ってつけられるのはあまり好きじゃないから…」
「それじゃ、オレは名字で呼ばせてもらう」
「おすきなように。ちなみに久川よ」
そんなことを話している間に校門の前まできた。
この学校の校門の脇には樹齢100年を軽く越える桜の木が立っている。
あれから蓮は久川や水瀬先輩と話していた。
う~ん、どうしても馴染めない環境だ。
「それじゃね」
「それでは」
「それじゃ」
「…」
「ほら~修~」
「あっ、それじゃあ」
「はいそれではまた」
「何ボーッとしてたの?」
先輩達と別れてすぐ廊下で蓮に質問される。
「ちょっと考え事してた」
「何?」
「お前に言っても理解できない」
「はぁ?どう言う意味」
「ほら、教室だぜ」
「…う~ん、うまく話を変えられた気がする」
「気のせーだ」
鞄から道具を取り出していると…。
「あれぇ~、修司、今日は早いね~」
「あぁ、ちょっといつもより、早く目がさめた」
「ふ~ん」
道具を出し終え晶の方を見るとニコニコしていた。
「どうしたんだ、ニコニコして」
「何か、都合がいいことでもあったのかな~って思ってさ」
「どう言う意味だよ」
「前に蓮ちゃんが言ってたでしょ~」
…
……
………
「それにしても、蓮ちゃんはすごいよね。 ちゃんとあのネボスケ修司を、起こすんだもん」
「そんなことないよ。 それに修だって、ちゃんと起きることがあるんだよこれが」
「まったくだ。 オレもずっと寝ているわけではない」
さすがオレの妹だ
オレのことをちゃんと見ているなぁ
「へ~…でもそれって…」
「うん。 自分に都合の良いときだけ」
………
……
…
そういえば…そんなこともあったな。
「まっ、今回はそういうわけでもないし…、たまたまだな」
「そっか」
「あっ、おはよ~七瀬くん」
「おはよ~。今話してたけど、今日は早かったね」
「うん、修が珍しく早く起きたからね~。毎日、こうだと楽なのに」
「お前ら…ひどすぎる」
「本当のことでしょ?」
「あのなー」
『キーンコーンカーンコーン』
「残念」
晶はどうやら楽しんでいたようだ。
本当に残念そうな顔をしている。
間髪いれずに蒼月が教室に入ってくる。
「起立。おはようございます」
…
……
………
午後。
う~む、珍しく眠くない…。
前では相変わらず先生が黒板に向かって何かを書いている。
ちなみに今は科学の時間だ。
眠くないと言えば…今日は本当に珍しく早く起きたな。
昨日も遅くまで三国志を読んだのに…赤壁の手前だったんだよな~。
う~ん…珍しい。
まぁ、それで朝から水瀬先輩に会えたし…、
って何考えてるんだオレ。
「修司、ここの問題わかるか?」
「えっ」
突然呼ばれて反射的に立ち上がる。
「この問題を解いてくれ」
「えっと…」
「しーくん、しーくん。答えは“ビウレット反応”だよ」
「サンキュー」
オレは小声で、答えを教えてくれた薫に礼をすると、
「ビウレット反応です」
答えを言って、何も無かったように席につく。
「よし、よくわかった。それでこれが、キサントプロテイン反応であるから…」
「もーっ、久しぶりに起きてるかと思えば何考えてるの?」
さっそく薫に攻撃を受ける。
「ん?まぁ、ちょっと考え事してた」
「まっ、寝てるよりは有意義な時間を過ごしていると思うけどね」
う~んそれはどうかと思う。人間休憩は必要だしな…。
授業も終わり、HRも終わった。
蓮と一緒に帰ろうと思ったが、友達との話が盛上ってたので中断させるのも悪いと思って先に一人で帰ることにした。
教室をでる。
春の温かい陽射しが眩しい。
河沿いを歩いている。
いつもよりちょっと遠回りだが、たまには寄り道してもいいだろう。
そう言えばそろそろ桜が満開の季節だな。
たまにはお花見というのも楽しいかもしれない。
…
やっぱやめとこ。
昔みたいに蓮が甘酒によって超能力暴走するといけないし…。
そんなことを思い出しながら家まで帰ってきた。
「ただいま~」
「あっ、お帰り~。珍しく遅かったね」
「あぁ、ちょっと寄り道してきた」
「そうなんだ。ご飯までまだちょっと時間があるから風呂でも入ってて」
「わかった」
ふ~今日も終わったか
三国志でも読むか………やっぱやめておこ
考えてみると、明日は土曜日だけど、学校は休みか…
たしか、HRで先生が『日曜日の2日と憲法記念日の3日を出校日にする変わり、1日と木曜日の6日を休みにする』とか言ってたきがする。
昼
「ふぅすばらしい目覚めだ」
時間はすでにお昼を回っている
「?」
リビングに降りて、テーブルの上におかれた白い紙を見つける
『おっはよーネボスケ修。ちょっといつものスケート場に行ってきます。ご飯はテーブルの上においてあるから食べておいてね。
どうせまた昼に起きるだろうからさめても美味しいのを用意しておいたよ♪それじゃあ、夕方には帰ってきます 蓮』
「…」
まっ、いつものことか
蓮は休みの日には家にいることは少なく、たいていは室内スケート場に行っている
テーブルの上には昼食ようにつくったと思われる料理がある
ご飯も食べたし…
う~ん・・・どうしよう
「たまには、部屋の片付けでもするか」
…
……
………
ん?これは
本棚を整理している途中に見覚えのない本が出てくる
「なんじゃこりゃ?」
ハードカバーの本はかるく厚さ3センチを越える
「おやじの…忘れ物か」
どうでもいいけど、愛書は自分の部屋においておいて欲しいな
これじゃあ、ほかの本が入らないじゃないか…
…
……
………
「ただいまー」
帰ってきたか
んじゃあ、出迎えに行きますか
「おかえり」
「あっ、ただいま~。ちゃんと起きたね」
「いまも寝てるやつは、そうとう居眠りが大好きなやつか死んでるかだとおもうぞ」
「修ははじめに行ったほうに当てはまってると思うけど?」
「それは、いいすぎ。ところで、今何時だ?」
「六時半だよ」
「まじかよ」
「どうしたの」
「5時間も部屋の片付けしてた」
「ふ~ん。見られちゃいけないのはきちんと片付けた?」
「どういういみだよ」
ふー
目覚めが気持ちいい
時間は…
『7:00』
いつもより早い…か
まぁいい、起きるか
「おはよーっ、今日も早いね~」
「あぁ、三国志も読まなかった」
「めずらしい」
「まーな。気分転換だ」
「ふ~ん。そじゃあ、はい」
「サンキュー」
蓮から朝ご飯のサンドイッチとコーヒーを受け取る。
「たまには和食もいいかも」
「僕はどっちでもいいけど、修が起きるの遅いから…」
「たしかに…」
いつもオレが時間ギリギリで起きるからパンじゃないと間に合わないんだよな。
いつもより早めに家を出る。
この間と同じ時間ぐらいか…。
坂の手前まで来て蓮がオレを呼ぶ
「修、あれって」
「あぁ、水瀬先輩と、久川だな」
「やっぱり」
「おはようございます」
蓮が横に並んで挨拶をする。
オレもそれに続く。
「おはようございます」
「おはよう」
「いつもこの位の時間ですか?」
水瀬先輩が蓮に話しかける。
「あっ、いえ、今日は修がはやく起きたんで…」
「それでは、金曜日の時も?」
「そうです」
「なんかたくらんでるでしょ修司くん」
不意に久川がオレに聞いてきた。
「はぁ?なんでそうなる。偶然だぐ・う・ぜ・ん!」
「へーそうなのかなぁ?」
「好きにしろ」
「お2人とも仲がいいですね」
「「違います」」
「なぁ久川」
「なに」
オレは小声で久川を読んだ。
「もしかして、水瀬先輩ってかなりの方向音痴?」
「そうねー、どちらかといえば…昨日も自分の教室間違えそうになった…って言ってたから」
「それって…どちらかっていうレベルか?」
「それもそうね…天然…かな?」
「さらっとひどいこというな、お前」
「修!危ないっ!!」
「えっ!!」
『ガンッ!』
「っーーーーーーーっ」
頭に激痛が走る。
どうやら、思いっきり校門にぶつかったらしい。
「あんたも天然…かもね」
「…」
「おはよ~って…あれ?…修司、制服…」
「あぁ、汚れてるって言いたいんだろ?」
「うん…顔もやつれて見える」
「朝、校門にぶつかった」
「修司…ガラにもなく早起きするからだよ」
「そう…かもな………はぁ~っ」
放課後
ふーっ、やっと終わった。
珍しく全部の授業を聞いてたし。
今日は土曜日の変わりだから授業も早く終わるし…。
「修」
帰る準備をしていると蓮に呼ばれた。
「どうした?」
「買い物付き合ってほしいんだけど」
「食品?」
「うん」
「よし、わかった」
「ありがとう」
「今から?」
「当然♪おなじみだけど、荷物持ちお願い」
「もしかして…両端?」
「さすがぁ~!よくわかったね修」
両端とは、商店街の両端にある『三浦精肉店』と『菊地八百屋』のことだ。
ちなみに商店街の名前は『星屑商店街』という。
夏になると名前にのっとって七夕祭りが大々的に行われる。
『甘党』もここの商店街にある。
『菊地八百屋』での買い物を済ませて、『三浦精肉店』についた。
「それじゃあ修、まってて」
「あぁ」
ちなみにオレは荷物持ち専門だ。
混雑する店の中では俺がいても邪魔になるだけだ。
「う~む、たまには何かを買ってやるか」
オレは『甘党』のノレンをくぐる。
「チーズケーキ2つと、どら焼き4つください」
「880円です」
レジにお金を払って店を出ようとしたとき。
「あれ?修司さん」
「あっ、水瀬先輩こんにちは」
「こんにちは」
「今日は買い物ですか?」
「はい、前に頂いたとき美味しかったので」
「それはよかった」
「修司さんはどうしたんですか?」
「蓮にたまには何か買ってあげようかなと」
「いいお兄さんですね」
「いえ、いつも迷惑かけてるんで」
「そうですか」
そう水瀬先輩は笑いながら言った
「はい。あっ、そろそろ戻らないと蓮を待たせそうですから」
あまり長居すると蓮を待たせることになる。
「あ、お引止めしました」
「いえ、それじゃあまた」
「はい、また。あっ」
「どうしました?」
「お大事に」
「はい」
オレは笑いながら答えた。
『三浦精肉店』の前に戻ると蓮が丁度店から出てきたところだ。
「あれ?修、どこいってたの?」
「あぁ、ちょっと買い物してた」
「そうなんだ。あっ、それじゃあこれお願い」
「おう。まかせておけ」
蓮と一緒に商店街を出る。
昼を少し過ぎた時間の太陽は心地よく暖めてくれる。
風が吹きぬける。
春が1歩1歩近づいているのを感じる。
夕方
「ところで、蓮」
「どうしたの、修?」
「冷蔵庫にどらやきと、ケーキを入れておいたから、食べてくれ」
「えっ、いいの?」
「あぁ、そのために買ってきた」
「ありがとぉ~」
蓮は嬉しそうにして台所へ向かう
料理するときも気がつかないようにかなり奥に入れておいた
われながらすばらしい作戦だと思う
「これ?」
オレの前におかれた「甘党」とかかれた白い箱
「あぁ」
「それじゃあ、いただきます」
「遠慮なく食べてくれ」
「あれ?修は?」
「いわれなくても食べる」
いいながら箱の中のどらやきを取り出す
「全部食べないでよ」
「あたりまえだ。お前も食べ過ぎると太るぞ」
「僕は運動してるから大丈夫だもん」
いったそばからケーキを食べる
ふぅ~
明日は月曜日・・・
早めに寝ますか
『ザーッ』
「…」
『ザーッ』
「朝から騒がしいぞ!!」
誰もいない部屋に叫ぶ
カーテンを開けるとそとは土砂降りの雨だった
「…。桜…大丈夫か?」
「それにしても結構ふってるね」
学校に行く途中の道。
「あぁ」
「桜・・・散らなきゃいいね」
「そうだな」
雨に濡れて、艶をます緑
二人の声も雨音にかき消されていく
「それにしても、修。最近起きるの早くなったね」
「そーいえば、そうだな」
「まっ、僕は遅刻寸前にならないからぜんぜん嬉しいけどね。でも、この時間だと」
「どうした?」
「あっ、やっぱり」
蓮が指を刺した方向を見る
久川と水瀬先輩がちょうと坂の手前にいた
「なるほどな」
「修、行こう!」
「おはようございます!」
「おはようございます」
「おはよう」
蓮の挨拶から会話ははじまった。
なんだかこの光景も見慣れてしまった気がする…。
こうやって、日常は少しずつ変わりながら繰り返すんだろうな…。
って、なに黄昏てるんだ?オレ…。
『キーンコーンカーンコーン』
よっしゃ~今日もおわりだ
雨も弱まっているし、さっさと帰りますか
夜
3:30
もうこんな時間か…。
恐るべし『三国志』…。
まっ、いいか。
明日はどうせ憲法記念日…休みだからな。
おやすみ~オレ。
…
……
………
「…修」
う~ん
「修」
…
「起きないと遅刻~」
「おきて~」
わかったわかった
「…おふぁよ~」
「修、おはよ~じゃないよ。早くしないと遅刻するよ」
「なにいってるんだ、蓮。きょうは3日。やすみだ」
「なにってるのは修のほうだよ。学校の事情で3日を出校日にして6日を休みにするって」
「・・・・・・・・・!?」
「わかったら、早く準備して」
「お、おう」
「先に降りてるから」
『バタン』
「これは、やばいぞ」
いつも遅刻寸前といっているが、多少の余裕はある
が、今日は本当にやばい
蓮は走れば15分ちょっとで学校に着くが、おれはそうも行かない
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
「修、はやく~」
坂の上のほうで蓮が叫んでいる
「まってくれ~」
周りにはもう生徒はいない
靴を履き替えて廊下を全力疾走
すでに予れんはなり終わった後だ
「ぎりぎりセーフ」
「修司、これでいつものネボスケ修司だよ~」
「・・・もう何もいうな」
教室の中に入って自分の席についたとたん、おれは息絶えた
席につくまでの途中、晶に話し掛けられた気がする
その後の記憶なんてあるはずがない
昼ごはんをみんなで食べたことぐらいが頭に残っている
教室の中には誰もいない
すでに帰りのホームルームも終わったあとみたいだ
「帰るか」
だれか起こしてくれてもいいものを・・・
夜
明日こそ、ゆっくり寝てやる!!
変な宣言をしてオレは眠りにつく。
「ふぁ~~~」
大きなあくびをしたあと、オレはベッドから起き上がる。
時計を見るとすでに昼を回った頃だった。
「いいかげん、起きるか」
結局昨日家に帰った後、夕飯を食べ、風呂に入った後すぐに眠りについた。
流石に、これだけ寝れば目覚めは最高だ
着替えをすませ、1階のリビングへ降りていく
「おはよぉ~修」
「おはよう」
「よく眠れた?」
「眠らなきゃ死んでる」
「あははっ、そうだね~」
朝、いや昼か…。
とにかく、昼から元気がいい。
ゴールデンウィークなんて、用事がある人にとっては嬉しい限りだが、オレにとっては無だな日々を過ごすいみのない連休だったりする。
「何か、やることはないかな」
「どうしたの?」
何をすることもなく、ボーッとしてるオレに蓮は尋ねてくる。
「暇なんだ」
「う~ん…そうだねぇ~」
「どうすればいいと思う?」
「そうだっ!」
蓮は名案が浮かんだかのように、手を叩く
「たまには、ノート写したら?」
「…」
「だって、修ここ1週間ぐらいノート写してないよね?」
たしかに、オレは最近授業中は寝てばかりだ。
特に昨日は6時間すべて寝るという偉業を達成した。
授業の挨拶もした記憶が無い。
蓮に後からきいたら、『あまりにも気持ちよさそうに眠ってたから先生が起こさなかった』とのことらしい。
「そりゃ、そうなんだが…」
「なら、ほら、溜まると面倒になるよ」
「う~」
「修~」
「うぅ~…」
「ほ~らぁ~」
「わかった」
このままだといつまでたってもらちがあかないのでオレはやることにした。
「僕も付き合ってあげるから」
「はぁ~い」
…
……
………
「それにしても、多いな」
「当たり前だよ。1週間のうち、授業何時間寝ってる思ってるの?」
「わからん!」
「そんな、キッパリ言わなくても」
蓮は困った顔をしている。
…
……
………
「だから、ここは『関係代名詞』の前に『,』があるから、『関係代名詞の非制限活用』になるの」
「…」
「ここの英文つまり[ Meat is the main dish in their meals,and for dinner they like to have
a big steak,which is sometimes over 450 grams. ]は、『肉は彼らの食事のメインで、晩ご飯に好んで食べます。そして、それは時に450gを越えます』になるの」
「なぁ、『which』の前の『,』はともかくとして、『and』の前にある『,』はどういう意味なんだ?」
「ねぇ~修、それって中学校の基本だよ?ちなみにこの場合は『同格』だけど…」
「そうか。蓮の説明は先生よりわかりやすいな」
「ただたんに聞いてないだけ…だとおもうよ。ちなみにここの『which』は『and
it』でも置きかえれるから、
覚えておくとテストに出たとき便利だとおもうよ」
「サンキュー。ん?」
「どうしたの、修」
「なぁ蓮、普通英語ってポンド表記じゃないか?」
「そういえば…そうだね」
…
……
………
「はい、今日は終わり」
「つかれたぁ~~~」
「もうこんな時間だよ」
オレは時計の方を見る
『6:54』
「なんで、家だと真面目に勉強できるんだろうな?」
「そんなの、僕はしらないよ。それより、ご飯食べよう?お腹すいたし」
「あぁ、オレもすいてる」