イベント開催にいたるまで
前回のイベントレポートの最後に、「次回開催ですが、今のところ何も考えていません。と、終了直後は思っていたのですが、適切なタイミングは二回ぐらい思い浮かんでいるので、気分が高揚したらまた開催するかもしれません。
」と書きましたが、そのひとつが「復興記録写真集『大槌町 ここは復興最前線』の新刊を作った時」でした。
前回のイベントを開催した時点で新刊を作る予定はあったので、そういう書き方になっています。ちなみにもうひとつは覚えていないです(苦笑)。多分小説のことを指しているのだと思いますが、仮にそうだとしたら気分が高揚しなかったのでしょう。
ともあれ、無事に新刊は完成し、イベント開催にいたりました。
7月後半~ イベント告知
イベントに向けてワールドに手を入れたかったのですが、新刊の原稿を先に進めなければならないので、とりあえず告知だけ先行することにします。
イベント告知は前回同様、
を中心に、あとはTwitter(自称X)とMisskey.ioへの投稿で行いました。Misskey.ioの広告は安価でできるのと、広告からのリンク先を自分のノートにしておけばリノートで他のサーバー(インスタンス)にも広がるので、意外なところまで届くのが楽しいです。まさか広告出稿の開始の二日前にコミケ向けの安価なプランが発表されて、コミケの新刊告知が急造する中での告知になるのは予想外でしたけど(笑)。
Misskey.ioで出稿した広告のリンク先のノート。
Twitterでの告知ツイート。
どちらの告知もたくさん反応がありましたし、前回参加された方や以前からワールドの存在を知っている方が、これはよかったよとか、今日はこれを聞きに行きますなどと一言添えた紹介もたくさん頂きました。本当にありがとうございます。
ワールドに設置したイベント告知
イベントの前にワールドに来た人にイベントを案内する目的で、ワールドにもポスターを展示しています。相変わらず時間がギリギリすぎてポスターの展示依頼をすることはできませんでしたが。
TwitterやMisskeyで告知を再共有してくださった皆さん、前回のイベントの感想も交えて告知してくださった皆さん、どうもありがとうございました!
ここだけの話、告知用の文章は最初の頃は
写真集発行を記念(祈念)して、8月10日と11日に、「岩手県大槌町 震災復興記録写真展示室」を、作者自ら案内するイベントを開催します! 2時間にわたっ写真を説明し続けるという常軌を逸したイベントがまさかのPart2です。
8月10日と11日に、東日本大震災からの復興の歩みについて、10年にわたって定点観測した写真をもとに撮影者自身が解説するイベントを、clusterとVRChatで開催します!
という感じの文章でした。
ですが、とあるイベント告知に出会ったことでこの文面が大きく変化した結果、
度重なる災害と被害に対して、人々は何度となく立ち向かってきました。
1000年に一度の大災害と言われる東日本大震災にも、不屈の精神で立ち向かった人達がいます。
今回は、そんな復興の道程を定点観測してきた写真を元に、復興事業と人々の歩みを紹介します。
という文章に変化しました。導入からイベントの内容の案内までスムーズに紹介できていると思います。
8月2日~8月3日 ワールド改変の話
イベント日程はclusterとVRChatの二夜連続開催を考えていたので、必然的にCOMITIAの前の週になりました。ですがその頃はちょうど新刊の作成がピークの頃で、新刊入稿→写真解説イベント→COMITIAという3週連続のお祭り騒ぎです。当然、原稿中にワールドの改装という大がかりな作業はできませんというか、始めてしまうとそっちに気を取られてしまうので、新刊を入稿してから作業すると心に誓っていました。
果たして新刊は無事に入稿しましたが、ここから一週間でイベントに向けてワールドを改装する必要がありました。
使用するワールド「岩手県大槌町 震災復興記録写真展示室」にはイベント用のギミックはすでに仕込んでありますが、今回はそれに加えて
- 能登半島地震があったことを踏まえて「復旧と復興の違い」を追加
- 新刊を発行するに当たって新たにまとめることができた「松の下公園」の追加
- イベント用追加パネルの微調整
という、大がかりな内容が二つ含まれていましたので、結構ギリギリの作業になりそうな雰囲気でした。
復旧と復興の違いを追加(一番左のパネル)
イベント限定展示「松の下公園」のテストの様子
解説用パネルの微調整(加筆)
原稿を入稿したのが8月1日(木曜日)の午前1時で、金曜日の夜からワールドの改装を開始。一番苦労したのは「松の下公園」をどうやって実装するかでしたが、一晩悩んで土曜日の朝に「これだ!」という方法を思いついたのでそこからバタバタと実装して、その日の昼過ぎには見られる形になりました。
まずはclusterのワールドを更新してアップロードし、次にVRChatのワールドを更新してアップロード。VRChatについてはclusterと違ってQuestは別途アップロードする必要がありますが、このイベントはPC推奨としつつQuestでも最低限は見ることができるという案内をしているので、Quest用もちゃんとアップロードしておきます。
結果的に一日の作業でワールド改装は終わりましたけど、原稿のスケジュールはカツカツだったので、改装作業を後回しにしていて正解でした。
8月4日 アバター改変の話
イベントで使用する「指し棒」ですが、clusterはワールドに設置してあるので、それを持つだけなのですが、VRChatの方はアバターの右手に仕込んでいるので、今回はアバターの改変も必要でした。というのも、私は季節に合わせてアバターを変えているのですが、前回は秋服だったので、今回使う夏服のアバターには指し棒を入れていないのです。
一度やっている作業でしたが半年以上前なので導入マニュアルを見ながら丁寧に作業していきます。ModularAvatarに対応していないギミックなのでメニューへの組み込みも自力でやる必要があり、こういう作業をすることでUnity力が少し上がるような気がしますね。
Unityでのチェック
VRChatでも実際に操作してみる
お借りしている指示棒は次の二つです。イベントにはなくてはならないものなので助かります。
前回はレーザーポインターも検討したのですが、写真と相性が悪い(Sprite Rendererと相性が悪い?)ので、指示棒を使っています。
8月4日 死亡フラグあるいは布石
3日のうちにイベントの準備が終わり、4日の午前中でイベント用のアバターの準備も終わってしまったため、午後は暇になってしまいました。
台本も前回のイベントを流用しつつ、増やしたパネルや写真の解説を増やすだけなのでそんなに苦労しません。そこで、以前から考えていたQuest単体(Android)モードでの表示に対応したアバターをちゃんと作ろうと思ってUnityを立ち上げました。
ざっくりと説明をしますと、私がアバター作りに使っているVRoidStudioは、その仕組み上、VRChatのQuest単体モードでのアバター表示の仕組みと非常に相性が悪いため、
- VRChatが提供する機能を使ってQuest対応のアバターを作る(見た目はかなり荒い)
- かなりの手間暇をかけて手動でQuestに対応する(多少見た目は変わるが再現度は一番高い)
- 対応を諦める(フォールバックアバター(全く別の見た目のアバター)に置き換えられるのを覚悟する)
- 全く別のアバターを使う(作る)
といった代替手段を取る必要があります。
ちなみに私の場合は、適当に対応という第五の選択肢をとることでQuestでの表示にも対応しているのですが、本当に適当なので、一言で言えば、等身大パネルがそこに置いてあるだけの表示になるので、身振り手振りが一切伝わりません(表情に応じてポーズは変わる)。
Quest対応の等身大パネルアバター(ベースは「ペラアバター」)
VRChatのイベントでは、できるだけ軽量なアバターの使用を求められる場面もあります。そういった場面でも使えて、自分のアイデンティティを保てるアバターをちゃんと作ろうと思い至ったのです。
ベースとなるのはVket AvatarMakerというサービスです。これを使えば軽量なバターを作ることができるのは6月にテスト済みなので、これを元に座ったときのポーズや基本のモーションなどをちゃんと調整して、より自分らしいアバターにしていきます。
Vket AvatarMakerで作ったアバターからQuest対応アバターを作った。顔だけ有料パーツの「トラスちゃん」
都合半日ほどでQuestでの表示に対応したアバター(QuestでMedium、PCでExcellent)が完成しました。
思いつきでQuest対応のアバターを用意したことが、後々、イベント開催ができないかもしれないという危機を救うことになるとは、この時は知る由も無かったのです………。
イベント本番
8月10日 cluster会場
イベント会場に先行入場して「これから始めますよ」という投稿をしようとしましたが、時間がギリギリすぎてテキストだけの投稿に。写真を撮ったのが開場の1分前なのは流石にギリギリすぎでした。せっかくなのでここで供養しておきます。
時間がなさ過ぎて投稿できなかった写真
始まってしまえば、後はもう勢いで進んでしまいます。あっという間に前半パートが終わり、5分の休憩時間です。
休憩時間に撮った4枚の写真のうちの1枚(2枚はネームプレートありだったのでボツ)
休憩時間が終わり、写真説明は後半パートへ。イベント限定の写真も追加で説明して、定点観測の後半パートが終わったのは23時15分。
前回開催したときは23時までとしておきながら実際は23時15分ごろまでかかったので、今回は最初から23時15分と案内していましたので時間ぴったり………ではありません。この後、定点観測以外の写真が入るので余裕で延長戦突入です。本当に申し訳ありません。
よくよく考えてみると、前回が23時15分で終わったから今回は23時15分というのは、考え方としては間違いではないのですが、解説パネルが1枚増えているのと、イベント限定の写真が10枚増えているので、どう考えても23時15分に終わるはずがありません。主催者は算数ができない。
結局、すべての写真の解説が終わって、記念撮影に突入したのは23時45分でした。予定より30分オーバー。3時間弱のイベントになってしまい申し訳ありませんでした。
イベント終了時に参加されていた方々との記念撮影
入退場自由のイベントですし、長時間のイベントですので、途中まで参加された方、途中から参加された方、途中から途中までの方など、たくさんの人に来ていただきましたが、イベント終了時に参加されていた方々との記念撮影でイベントは終了です。
参加された皆さん、本当にありがとうございました。
8月11日 VRChat会場
夕食も終わり、イベントが始まる1時間30分前の19時30分、金曜日の夜からパソコンをつけっぱなしだったので、一度再起動しておこうと思って再起動ボタンを押したところ、数秒だけブルースクリーンが表示されて不穏な空気になります。その後、マザーボードのロゴが表示されましたが、「ディスクのエラーを確認しています。完了まで1時間以上かかる場合があります」が表示され、完了して再起動した後も「ディスクのエラーを確認しています。完了まで1時間以上かかる場合があります」が繰り返されるという無限ループに突入します。
WindowsのインストールメディアからWindowsを起動して、コマンドプロントを立ち上げ、scandiskによる完全スキャンや、sfcによる修復も試みますが、完了しましたと表示されるものの、一向にWindowsは立ち上がらず、「ディスクのエラーを確認しています。完了まで1時間以上かかる場合があります」が表示され、再起動を繰り返します。
この段階で私はWindowsの復旧を諦め、Windowsをクリーンインストールするという手段に出ます。私のパソコンはCドライブのSSDにWindows、DドライブのHDDに個人用データというように、物理的にドライブを分けているので、仮にWindowsをクリーンインストールしても、個人用データには一切被害が出ません。ソフトの設定が吹っ飛ぶという問題はありますが、ソフトの設定についてもAppDataを週1で自動バックアップしているので、AppData内に設定を保存しているソフトについては復旧できます。
意を決してWindowsを再インストールし、最初の再起動の後に表示されたのは「ディスクのエラーを確認しています。完了まで1時間以上かかる場合があります」でした。
そう、WindowsではなくSSDそのものが壊れているようでした。
開場10分前、ここにきてイベントを中止するという選択肢が現実味を帯びてきます。一方で、今から中止を告知したとしても、周知までの時間が短すぎます。
ここで、二つのことが頭をよぎります。
- VRChatのワールド「岩手県大槌町 復興記録写真展示室」は今回イベント向けに追加した部分まで含めてQuest対応している。
- Quest対応のアバターを作っている。
そう。
Quest単体でのイベント開催に何ら支障が無いという事実です。
もちろん、イベント用の台本はPCに保存しているためそれを使えない、ボイチェンを使えないという制約はありますが、台本については過去3回やっているのである程度覚えているだろうということ、ボイチェンについては私が覚悟を決めればいいだけです。
意を決して普段はPCに接続するUSB-CケーブルをANKERの充電器に接続してQuestを起動し、VRChatにログインをし、インスタンスを立てます。
台本が使えないため、他の回と比べて説明が減るかもしれないことを説明した上でイベントスタートです。説明が減るため時間が短くなることを想定して、展示室を一つ説明し終える度に質問を受け付けることにしました。
始まってしまえば以下略。
結局、定点観測の前半部分はclusterとほぼ同じ時間で終了、後半部分もclusterとほぼ同じぐらいに終了。台本がなくてもほとんど覚えていたため、説明もごく一部を除いて過不足なくできたと思っています。
その結果、最後の記念撮影は23時52分と、cluster会場より遅い時間になるという事態に。長時間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
イベント終了時に参加されていた方々との記念撮影(一部の方を除いて全員フォールバック表示)
イベントを終えて
去年の11月に第1回、そして今回開催した大槌町写真解説ですが、都合4回の説明に合わせて参加された皆さん、本当にありがとうございました。勢いで始めた写真解説ですが、感想を拝見しているなかでは全体的に好評なようで嬉しい限りです。
思いつきと勢いで始まったイベントなので、なにを説明しようかなと考えているうちに、解説用のパネルが必要だと気づいて追加したり、ギミックを実装したり、さらには第2回開催ということで解説パネルを追加したり、写真を追加したりなど、かなり手の込んだイベントになったように思います。
第1回は両会場とも2時間20分、第2回は2時間50分という、ものすごいボリュームのイベントになってしまいましたが、最初から最後まで、あるいは一部だけでもと聞きにくださった方、感想をお寄せくださった皆さん、本当にありがとうございました。
そして、イベントに来ることができなくとも、告知だけでもと協力してくださった皆さん、本当にありがとうございました!
次回………?
第1回、第2回とともにcluster、VRChatの2会場、都合4回の開催を経て、私としては非常に満足する形でイベントを終えることができました。ワールドに写真を追加する予定もありませんので、新規に説明することもないでしょう。ですので、基本的には今回の「Part2」をもって終了と考えています。
ですが、VRChat会場は台本がなかったことでごく一部ではあるものの説明ができなかったことが心残りになっているのも事実です。
なので、もしかしたら、ですが、VRChatの展示イベント、メタフェス2024に当選したら、メタフェス期間中にVRChat会場だけリベンジ戦を行う、かもしれません。(ワールド部門で申し込み済みです)。その時が来たらまた案内いたしますので、よろしくお願いします。
もし開催するならば、3時間を前提にして3部構成(休憩2回)で、20時スタート、23時終了にします(苦笑)。