昔、本の感想を書くときに「お風呂上がりの一冊」というタイトルで書いていましたが、これを復活させようかなと思います。ただ、当時は一般書籍でしたが、これ以降は同人誌の感想にします。Twitterでも同人誌の感想を書いたりするのですが、あそこは作者や自分の周囲に伝えると言う面では有用ですが、流れが速すぎて、私自身の記録としては全く役に立たないからです。あと、こういう固定されているページに書いておくと検索にも引っかかりますしね。
蛇足ですけど「お風呂上がりの一冊」というタイトルは、昔存在していたオンラインの書店「@本屋さん」で商品を買ったときに着いてきたポストカードに、冷蔵庫から本を一冊取り出す(熊の?)イラストと一緒に「お風呂上がりの一冊」って書いてあったところから来ています。
ということで、まずは最近Twitterに書いた同人誌の感想をサルベージしましょうか。
私の写真集とは正反対といえる、作者の気持ちを全力でぶつけたというのがひしひし伝わってくる(写真以外全部手書きという部分も含めて)ハイパワー同人誌(笑)。
「山田線擬人化沿線」ということで、山田線の駅の周囲をオリジナルの擬人化キャラを使って紹介しているのですが、ガイド地元の人すら知らないような事まで書いてそうな情報量は圧巻です。地元に住んでいる人ならともかく、岩手県民という括りで言ったら知らない人はかなり多そうですね、この情報。
最後のページのこだわりは「分かる」。
どこかで一目惚れ(サークルカット? 告知のRTが回ってきた? 会場で見た?)したので内容をほとんど確認せずに勢いで買った本。宇宙、魔法、巫女さん。私の属性全ぶち抜きでいいと思います。
「小説家になろう」で連載しているとのことですが、このまま全部本でまとめて欲しいです。ウェブ連載作品ってどうしても途中で読まなくなってしまうので。
告知ツイートに一目惚れして当日は中身も大して確認せずに買いましたけど、こういう結末を迎える作品って大好物です。
小説&マンガの組み合わせは好き嫌いが分かれる形式だと思いますけど、小説部分もマンガと同じようなテンポで読めてよかったです。
タイトル的に色物だと思っていたんですけど、結構骨太のストーリーでおもしろかったです。予定より50ページ増という勢いも納得(笑)。
個人的に、姉に***されて、***ちゃうとか最高かよ、って感じですね(個人の性癖です)。いいぞ、もっとy文字数
全体を通して一言で言えば「魔王可愛い」なんですけど、いろんなやり取りにツッコミが追いつかない(笑)。
1巻の陛下と宮廷魔術師のやり取りが酷い(褒め言葉)。キャラの表情が豊かなんですけど、泣き顔とか赤面とか大好物なので美味しく頂けました。
あと貧乳コンプレックス属性なのでそちらも楽しめました。
三陸沿岸の宮古⇔釜石間が不通になったのは想像にたやすくないですが、その後山側で発生した崖崩れで盛岡⇔宮古間も不通(区間運休、折り返し運転)になり満身創痍とも言える状態だったJR山田線ですが、今日無事に復活を遂げました。残りは海側ですね。関係者の皆さん、よろしくお願いいたします。
二日続けてという形になるのでしょうか。今回は夏コミが終わった頃に気づき(多分)、COMITIAで入手しようとスペースに向かったらサークル主の体調不良で早めの撤収というニアミスで手に入れることができず、はなけっとまで持ち越しになった同人誌です。
何となくこれは通して読むべきだと思い、山田線復旧セレモニーを盛岡駅に見に行く往復の電車で一気に読み切りました。結果的に大正解だと思います。
まず、読み始めて気になったのは描写が異様に細かい事。作者自身が現地を訪れている事を実感させる細かさです。そしてそれを補うかのようなデータ。この小説は三ツ葉が依利江を被災地巡りの旅に連れ出すところから始まるのですが、事前に入念な調査をした三ツ葉によってよく言えば丁寧に、悪く言えばデータとして被災地について語られるような場面があります。
風景描写を含めて三ツ葉の言動を追いかけているうちに「で?」という感情を抱きました。
細かいだけなんです。そこに人としての感情が一切込められていない。現地を訪れたことがない人が被災地について調べたら、こんな模範的な結果が出てくるんだろうなあという数字としてのデータの羅列。彼女たち(むしろ三ツ葉)がそこに行って感じたことはないのか、三ツ葉はただ知識を披露したいだけなのか。そんな感情さえ抱きます。
私がこの作品を知ったのは作者の告知ツイートが何らかの拍子に回ってきたからだと思うのですが、調べれば調べるほどどうやら人気がある作品らしいと言う事が分かってきます。しかし実際に見せられた小説がこれ。被災地についての情景描写やデータを羅列して何が楽しいんだろう、読者は何を感じ取ったんだろうとさえ思いました。
そして、依利江に対する三ツ葉のあたり方が凄い癪に障るのです。一体何だろうかこの二人は。
さらには1巻と2巻で出てくる二人の店主の行動がそれに拍車をかけます。現地にいて、色々な希望や不安を抱きつつ、それでも前を向いている人を知っているからこそ(もちろん作中にもそう言う人は出てきます)、この二人には苛立ちすら覚えるのです。
しかし、それらの感情を一気に別の方向へ向けさせるのが2巻の後半と3巻です。データを開示するような1巻から打って変わって2巻、3巻は二人の行動に、まさに「さんぽ」とそこに至るまでの過去、これからが語られます。ここまで来て、「ああ、この作品はこういう作品なんだ」と実感することができました。
特に2巻後半、陸前高田市で行われる三ツ葉と依利江の言い合い。作者自身も陸前高田市で書きたいことは書ききったと後書きで触れていたような気がしますが、まさにそんなやり取りで、今までの情景が全て入れ替わるのです。全編を通して行われた、そこに住まう人達とのやり取りや、住まう人同士のやり取りが別の意味を持って襲いかかってくる、そんな感覚です。
私が感じたように依利江も色々なことに違和感を覚え、そして異を唱えていく。気づいたら私と依利江の気持ちはどこか重なっていたと思います。依利江の感性はおかしくないし、むしろ私に近いところがあるのかもしれませんね。
そして結末の3巻。
その最後、女川町。
三陸沿岸に興味を持って触れている方なら、女川町を最後(作中での最後に出てくるのは名取市だが、被災地めぐりとしては女川町が最後)に持ってくるというので勘づくところはあると思います。「ああ、なるほどな」と。私自身も女川町が最後というのはよくできた構成だと思います。復興という視点から見たとき、女川町は確かになにかが違います。別にこれは「女川町」に限ったことではなく、同じ市町村でも湾や集落が違うだけで文化が違うので、女川町に限らず、周囲と比べて「何かが違う」と感じる町は幾つもあります。まあそんな何か違う町、何かが起こりそうな町、女川を舞台に、二人の少女が変わっていく。青春を奏でる。未来を抱く。
この作品は、被災地を舞台にした作品ではなく、彼女たちが成長するために通った場所がたまたま被災地だった、そんな作品だと思います。まさにロードムービーですね。
場所場所で行われたやり取りが、少しずつ二人に刺激を与え、何かを考えるきっかけをもたらし、二人の関係の変化はもとより、二人のそれぞれの未来さえ変えていく。「被災地物」と片付けるのにはもったいないし、被災地物だからと嫌煙してる人には是非とも読んで頂きたい作品です。
さて、以上が感想です。読みたくなった方は今すぐイベントへGO!
あとは小並感な感想を並べていこうと思います。
ここで終わればいいのですが、ちょっと気になる部分があったのでそこだけ。
2巻の後半からは物語がシフトしていったので感じる事はなかったのですが、1巻は場面の切り替えが唐突すぎて「ん?」となるところがいくつかあったように思います。多分これは作風の違いで私個人が感じる事なのでどうでもいいです(笑)。
あとこれは全巻を通してですが、組み版が「追い込み」と「句読点の文字間を詰める」という設定になっているようで、微妙に読みづらいのが気になりました。3巻あたりでようやくなれたのですが、一般的な小説のフォーマットと違うので最初は結構手間取りました。