考えてみたら、初代デジカメであるIXY600の時から気が向いたら星空の写真を撮っていましたけど、三脚に乗っけてシャッター速度を手動で設定するだけの簡単なお仕事だったので、ピントも怪しいし、どうあがいても30秒が限度だし…と色々と制限がありました。
特段、星空の写真に気合いを入れているわけではないんですけど、わざわざ六ヶ所村に写真を撮りに行ったりだとか、年末年始に実家に帰った時に写真をとったりだとか、振り返ってみると星空を結構撮っていますし、これからもきっととり続けるので、最低限のセットを一式そろえてみようかなと。
で、IYH。
まあ今回の場合は下調べを結構したので、計画的IYHのほうですけど、晴れた日に使ってみたいですね。
一式取り付けるとこんな感じ。三脚の上に乗っているパーツを全てひっくるめても3kg切るのはミラーレスならではといったところでしょうか。
ポータブル赤道儀といえば「ポラリエ」がちょっと前に話題になりましたけど、ポラリエが出る前からあるナノ・トラッカーの方が似たようなスペックで値段が1万近く安いのでこっちにしました。 ポラリエだけを買う金額でナノトラッカーや周辺パーツが揃うのでこっちの方がお得ですしね。
この日記はIngressというゲームを知っている前提に記述しています。多分サイトの日記でIngressについてちゃんと触れるのはこれが初めてですけど、Google+のほうでは結構Ingressについてしゃべってるので、もし興味がある方はそちらをどうぞ。
平たく言うとネトゲ、もう少し狭義の言葉に置き換えると位置情報ゲーム(位置ゲーは登録商標)の一種ですが、現実を拡張するという点ではARとも領域が被っていて、端的に言うのが難しいです。簡単に言えば、GPS端末をつかった全世界規模での陣取りゲームでしょうか。
三次元空間において一つの面(すなわち自軍の陣地)を最小単位で作り上げる為には、三つの頂点と三つの辺、すなわち三角形が必要ですが、Ingressではこの頂点として使用できるのが、現実世界に存在する看板や標識(ゲーム内用語でポータル)であり、プレイヤーは陣地を作る為にポータルのある場所まで実際に移動しなければなりません。3つの頂点を自軍の制圧下に置き、3つの頂点をそれぞれ結ぶ(ゲーム内用語でリンク)ことで三角形を作り、陣地とすることができます。このリンクを行う際もポータルのある場所まで行く必要があります。
ゲームの目的としては陣地の中に取り込んだ住民の数に応じたポイントが加算され、一定期間ごとポイントが計測され、ポイントが多い方がその期間における勝者となります。陣営は青と緑があり、世界的には青の方が優勢です。
ゲームゲームといっていますが、厳密にはゲームでは無く社会実験です。
Ingressで陣地を作る為に必要なポータルは、歴史的な建造物やユニーク(一意性)な物に設定されていることが多く、ポータルを探して歩き回ることはすなわち、散歩や周遊、地域観光と言い換えることができます。そして自治体としてIngressを地域観光と結びつけてイベントを最初に行ったのが、岩手県盛岡市であり、その主催は県庁職員によって作られた「岩手県庁Ingress活用研究会」によるものです。
基本的に、Ingressを楽しむ為にはポータルがたくさんあるほうがいいのですが、岩手県盛岡市はさほどポータルが多くなく、とてもIngressのイベントを開催するには十分といえなかったのですが、それを逆手にとり「とりあえずポータルを申請するのをイベントにしちゃおう」ということで開催されたのが2014年11月9日の「ポータル探して盛岡街歩き」でした。自治体主催のIngressイベントとしては日本最初であり、結果的に運営側の協力も得ることができ、このイベントをきっかけにして新規に認められたポータルは800個ほどあったようです。増えた数で800ですのでトータルはもっと多いですが、合計で800だとすると品川区とほぼ同じ数のポータル数(2015年1月現在)になります。人口は品川区の方が7万人ほどおおいので、1人当たりのポータル数は盛岡市に軍配が上がるでしょう。そこまで計算しなくても、ポータルの数が都区内並というのは特筆すべきでしょう。
ボランティアのツアーガイドによる地元の案内をはじめとしたイベントもあり、「Ingressを活用する」という観点で見れば大成功のイベントだったと思います。また特筆すべきはその早さで、研究会の発足が9月でイベントが11月と、お役所仕事にしてはかなり早いですね。
さて、ハック&キャンドルはそのタイトルの通り11月のイベントで大量発生したポータルを利用したイベント(ゲーム内でポータルに対して取ることができる最も簡単な行動としてハックがある)と、10年以上の歴史を持つ「もりおか雪あかり」を引っかけたイベント構成になっています。イベントの日程が発表された当時は行けるかどうかわからなかったのですが、前回のイベントに参加したかったのにできなかったので今回は参加したいと考えていました。
イベントが開催直前の2月10日、仕事にもめどがつきそうな流れになり、勢いで盛岡市内のホテルを予約し、自分を崖っぷちに追い込むことで参加を決意しました。
イベントの内容が今日の日記の趣旨ではないので内容は飛ばして所感から。
まずはよかったこと、他の自治体も参考にできると思える事。
一方で改善が必要なこと、後発のイベントが考えた方がいいと思う事。
それぞれはこんな感じかな。
全体的には、11時半頃から初めて最終ミッションをクリアしたのが19時なので都合8時間(途中30分の昼食、1時間30分のトークイベントへの参加時間含む)の参加でしたが、全体としてみればよくできたストーリーだと思います。オチもきれいだったし(笑)。ただし、上にも書いた改善点をふくめてもう少しブラッシュアップできそうな部分はあるし、今後Ingressを飛び越えて観光振興を推し進める場面にも応用はできそうだと自分では思います。
一応まちづくりを生業にしているのでこれについてちゃんと触れておこうと思います。
Ingressを活用して町に人を呼ぼうという試みは色々なところで始まっていますが、そういった試みを眺めていると、大きく二つにわけられると思います。
人を呼ぶという点で前者は非常にわかりやすいですが、長い目で見た時は後者の方に分があるのではと思います。トークセッションでも出ていましたが、私もこのゲームはあと2年も続かないと考えています。少なくとも今の形態で継続していないと考えます。故に上のような手法は2年で使えなくなります。
しかし後者は現地に現物が残っている限り、極端に言えばIngressが無くても継続は可能でしょう。
また現状のミッションのほとんど全てがハックや自軍の勢力下に置くだけですむため、前者はそのポータルの前を通るだけで解決するため、ただの位置情報ゲームに成り下がっています。
一方で後者はポータルの意味を解釈する必要があり、地域の魅力を発見すること、地域の歴史を知ること、そしてそれを人に伝えたいと思う事が前者よりも高まるでしょう。
持論ではありますが、観光振興も地域振興も、地域を知ること・愛することがその土台となりますから、Ingressを使って地域をアピールするのも大事ですが、地域に魅力を感じてもらうというのが本来の目指すべき場所でしょう。
また、外から人を呼ぶことも大事ですが、中の人を育てることも大事です。ちょっと趣旨は違いますが、5年前の日記で
経済性や、環境負荷、食の安全といった視点から語られる事が多い地産地消。本当に気をつけなければならないことは、地元でのみ育てられてきた作物を、その作物が持つ独特の味を引き出すような形で作られてきた郷土料理を守り育て、発展させていくことが、本当の意味での地産地消ではないのでしょうか。そしてそれを食べることによって育った子供達が、地元への愛着を持つことで、人材の流出を抑え、地域の創世、地方の再生・活性化につながっていくのではないでしょうか。
というようなことを書いていますが、ここで言う地産地消をIngress、作物を歴史と置き換えることができると思います。地元の人にこそ魅力を感じてもらう、愛着を持ってもらうことで、地域への定着を促せるのではないでしょうか。
トークセッションで吉岡さんが述べていましたが、普通の位置情報ゲームは遠いところに行くことや非日常が楽しいけど、Ingressは地元が楽しくなるゲームなんだと思います。Ingressをつかって観光振興や地域振興を図ろうとする自治体は、外から人を呼ぶことも大事ですけど、中にいるプレイヤーにどのような情報を提供するかについても考える事が必要でしょう。
さて、今までの流れを勢いよく脱線してベアレンビールの話。
いまやどこでも見かけるようになった地ビールですが、盛岡にもベアレンビールという地ビールがあります。Ingressのイベントを一通り堪能し、「もりおか雪あかり」も十分に堪能してホテルに戻った私は、とりあえず肉(前沢牛)が食べたいと持ち前の検索能力を駆使して駅周辺の食べ物屋を検索しはじめます。
すると「ピアパブ ベアレン 材木町」というお店を発見しました。これはもう行くしかないということで、すぐさま電話をして1席確保してもらい、お店へと向かいます。
ビールも料理も上質でした。これはちょっと紹介したいですね。ですがそれは本題では無いのでその話題はここまでにして、本題へ。
そのビアパブベアレンのカウンター席で飲みながら一つ思った事があります。それは、地域活性からみた地ビールの立ち位置はどこに持っていけばいいのか、ということ。
例えば、少なくとも関東や東北なら今やどこでも購入することができる地ビールとして岩手県の「銀河高原ビール」があります。
銀河高原ビールはどこでも見ることができるため、販売本数としては非常に多いでしょうし、それによって岩手県にもたらされる税収も多少はあるでしょう。しかし地ビールとして見た場合、銀河高原ビールはどこでも手に入るが故に、ただのプレミアムビールになってしまっていないか、という考えに辿り着きました。
商業的には非常に成功していると思いますが、地ビールやそれを通した地域の発信という路線を今後取ることはもうできないでしょう。
そういったことを考えた時、全国レベルでがんがん売るのがいいのか、それとももっと別のやり方があるのか、一度きちんと考える必要がありそうです。いつの間にか東京土産になってしまった「ひよ子」や、プレミアムビールという位置づけになっていそうな「銀河高原ビール」は、観光振興や地域振興という観点で見た場合どういう扱いなのか、そしてそれを踏まえて、ベアレンビールはどのようなやり方をすればいいのか、中々難しそうではありますが、一つ問いとして投げかけておきたいと思います。私には解決出来る問題ではなさそうなので(他力本願)。