5年後には黒歴史「高卒の実務経験と大卒の変なプライド、どっちがプラス?」

Top > 読み物 > 副産物 >

高卒の実務経験と大卒の変なプライド、どっちがプラス?

はじめに

 まず、昨年の今ぐらいの時期から延々と就職活動を行っている大学生の皆様。お疲れ様です。この時期の来春卒業予定者(今年度末卒業予定者)の募集はブラックが多いと言われていますが、キャンセルによる充当募集もありますので、目を光らせてください。また、教授や就活担当者に泣きつくのなら年内が限界です。一年間の就活を振り返りつつ、相談するのも手だと思います。
 行く当てもなく、博士前期過程(修士課程)の後期日程で試験を受けちゃえと考えている方。すこし、お話聞かせてもらおうか(by 高町なのは)。
 特に事情なく、今年の夏ぐらいからのんびりと就活を始めた大学生の皆様。ねぎらいはないから死ぬ気でがんばれ。
 そして、先日から就職活動が解禁された高校生の皆様。短い期間ではありますし、昨今の経済状況から、地元就職を望めないがゆえに遠方への就職活動を余儀なくされ、途方にくれている方も多いとは思いますが、がんばっていきましょう。

 序文の最後に。既に内定を勝ち取った皆様。まだ学業は残っています。残された期間で、貴方はひとまず義務教育とその延長だった学業を修めなければなりません。貴方のこれまでの人生の半分を超えるであろう歳月を費やしてきた学業の集大成を確実に完成させて下さい。

高卒と大卒の就活にまつわるエトセトラ

 就活の時期になると聞かれてくるのが、高卒と大卒の待遇やそれ以前の就活の手法の違いです。それらの意見は大体次の二つに大別できると思います。

 身に覚えのある方も、現に味わっている方も、まずこの二つの話題に分割した意味を考えていただければ幸いです。
 また、この手の話題を議論している方は、この二つに別けているかどうか、今一度振り返ってみて下さい。

同い年の高卒と大卒新入社員

 20XX年、春。今年も新入社員がやってきた。院卒2人。高卒で経験6年目の私と同い年だ。6年の間に仕事もだいぶ覚え、たいていの仕事なら一人でこなせるようになっている。
 新しく入ってきた院卒は今日から早速研修らしい。でも、研修の中身は私が受けたのとは違う。そう。彼は管理職候補として入社してきたのだ。

 よくある光景だと思います。学部卒、院卒のほうが大学で学んできた広い視野を活かせるとされ、将来の管理職として期待をもたれるというのはよくあることでしょう。それに対し、高卒の立場からすれば、未経験の新人がいきなり管理職候補の待遇を得ていることに不満を覚えるのも仕方がないと考えます。
 ではこの光景の根本である「学部卒、院卒のほうが大学で学んできた広い視野を活かせる」というのはどこまで本当でしょうか。個人的な見解を示せば、「ほぼ不正解」といったところです。

 学校というのは、高校、大学にかかわらず、最低限、参考書が発行される程度には成熟した学問を学ぶ場所です。つまりそこで教わることは「新しいこと」ではなく「先人が学んだことを後から追いかけている」に過ぎません。もちろん、大学の行う研究は先端分野であるかもしれませんが、一部の有名大学を除いて、学部生・院生レベルの研究ではそこに到達していないことが大半でしょう。特に卒業論文はそこらに転がっているテキストを読んでまとめただけというものがゴロゴロ転がっています。(玉石混交ではありますが、流石に修士論文は2年間腰をすえて研究しているので、卒業論文よりはだいぶまともです。)
 つまり、高卒が就職してから体で覚えたことと、大卒が講義や研究で学んだことは大して変わらないのです。しいて違いがあるとすれば、大卒は知識として根本的な部分を学んでいるため、与えられた仕事を理論的に考えることができるかもしれませんが、高卒であっても社内外の研修でその手の技術を座学で学ぶ機会もあり、その差はそれほど多くないと考えられます。
 知識として同じレベルにあり、仕事としては高卒のほうが上ならば、同い年の高卒と大卒新入社員では、前者のほうが本来は価値が高いはずなのです。

 では、大卒は同い年の高卒にすべての面で劣っているでしょうか。私が思うところ、二つほど、そうではないといえる要素があります。
 一点は、大学生が空き時間をどのように過ごしてきたかによります。「俺昨日3時間しか寝てないわー」という睡眠時間自慢をする大学生よりも、多くの場合、社会人のほうが余暇は少ないでしょう(勤労学生を除く)。逆に言えば、大学生は余暇があり、その時間に勉強をすることができます。
 勉強に割り避ける時間が短く、知識が自分の専門分野に偏りがちな社会人と比べ、大学生が余暇を利用して、広く(浅くても良いから)知識を得ていたとしたら、それは同い年の高卒に対するアドバンテージになりえます
 しかし、すべての大学生が余暇を利用して、広い知識を得ようと努力しているかといえばそうではないでしょう。むしろ比率で言えば少数派であると考えます。
 もし新たに採用した大卒が、大学の講義の枠組みを超えて(または大学内でも他学科履修などを活用して)広い知識を得ていたとしたら、それは将来、広い視点を持った管理職として力を振るうことができるかもしれません。

 もう一点は、「勉強の仕方を知っている」です。どのような形であれ、「勉強」を生業としてきた大学生は、勉強の仕方を知っています(不真面目な生徒は除く)。つまり、社会人になっても、培ってきた勉強の仕方を活用して高卒と同等かそれよりも短い期間で「知識面での勉強」を終えることができると考えます。
 しかしこれは「同い年」という視点で見れば、経験年数が多い高卒のほうが実務面ではいまだレベルが高く、会社からみて使える人材かといわれたらそれはまた違う評価になるでしょう。

結論

 「同い年の高卒と大卒新入社員」は、多くの場合、双方の専門分野への知識の程度に差は無い一方で、高卒は実務経験を持ち合わせているという点で、大卒の新入社員より価値がある。大学生は、すでに経験を積んでいる高卒入社の同い年の子に早く追いつくためには、培ってきた「勉強をする力」を活かさなければならない。(ゆえに勉強のできない大卒は高卒以下である。)
 また、大学時代から広く知識を得るように努力し、他分野への造詣を深めておくことで、将来的に役立つ可能性がある。
 一方で高卒は、社会人になった後は、知識が先鋭化することを防ぐためにも、時間を見つけては他分野の勉強を行う必要がある。」


 冒頭で「学部卒、院卒のほうが大学で学んできた広い視野を活かせる」という理論を取り上げましたが、私はこれに対して、前述のとおり、大卒生の送ってきた生活によるという結論が出る以上、その不確定さから、「ほぼ不正解」と考えています。

同期の高卒新入社員と大卒新入社員

 これについては多くの皆さんが、大卒の新入社員のほうが高卒と比べて待遇がよくて当たり前と考えるでしょう。私もその考えに同調します。

 しかし、前章の中身をまとめつつ理論を展開すると次のようになると考えます。

  1. 高卒がこれから体で覚えていくことと、大学生が今まで学んできた内容に大差は無い
  2. つまり、高卒が、大卒が学んできたことを会得したとき、大卒との差は無くなる
  3. ゆえに、学歴に関わらず、卒業前、就職後にどれだけ知識を得る努力をしたかにかかってくる

 大卒が学んだことの多くが「既存の知識」である以上、高卒が就職してからそれらを学んでしまえば、その差はなくなります。実務の経験年数が同じで、知識も同じレベルに到達したのなら、学歴は関係ないでしょう。
 つまり、高卒が卒業後に体でもって知識を会得し、大卒が新しい知識を得ようとしていないのならば、いずれは高卒に追い越されてしまうのです。

結論

 高卒新入社員と大卒新入社員が同期で入社した場合、大卒のほうが知識量で勝るが、高卒は今後、それと同じ知識を得ていく。実務経験は同じであり、学ぶことも同じであるならば、就職してから努力した方がより優れたものになる。

総論

 現在の就職活動は高卒者と大卒者で門戸が明確に分かれており、高卒は高卒として、大卒は大卒として採用するのが当たり前となっております。これは学んできたことが違う以上、当然のことと考えます。
 その一方で、高卒が大卒に追いつける以上、門戸が違ったからといって、定年退職を迎えるまで給料体系が異なる、昇進のチャンスが異なるというのはおかしな話であると考えます。努力もせず「大卒」という肩書きだけで高い給料をもらう社員と、努力したのにもかかわらず「高卒」という肩書きだけで給料が安いのでは、会社にとっても損失になるはずだからです。
 たとえば、高卒と学部卒、どちらも採用するような企業であれば、学部卒の新入社員に対して行う研修と同等の研修を、高卒入社の社員が22歳を迎える年度に開催するべきでしょう。なぜならば、高卒が4年間で体得してきたことと、大卒が学んできたことに大差は無いからです。

 高卒と大卒、同じ就活の土俵に上がれないことは採用試験の過程や倍率の違いもあり仕方がないことですが、その後の昇進や社内外研修の中身、仕事に差を作ることは、学歴のみを信用し、社内での実績を評価することをあきらめた会社側の怠慢であると私は考えます。

予防線(笑)

 人事の担当者、経営者から見ればまた別の意見もあるでしょう。一方で、現場の班長や係長から見た意見もあるでしょう。その際は、ただの水掛け論ではなく、大人の余裕を持った建設的な議論をオープンな場で展開していただければ幸いです^^^^^;

初出: 2011年9月27日
更新: 2011年9月27日
著作: 鈴響雪冬
Copyright © 2011 SUZUHIBIKI Yuki