世界の中心で愛を叫ぶ

純粋な恋がしたい貴方へ…

お風呂上がりの一冊

二冊目となるこのコーナーで取り上げる本となりますが、ちまたで話題らしいですね。
前置きはさておき、書籍紹介

ここまで純粋な、恋愛小説は久しぶりに読みましたが、それ以上に繊細さが漂っている気がします。
しかしながら、一般的な読者にそれをどこまで読み取ることが出来るか、と聞かれたら疑問が残るところでしょうか。
私は私の感性で感動しましたし、その結果、目が潤んだのも確かです。
果たして、そのようなことが他の人にも起こるか、と言われればやはり感性の違いもあるでしょうから、そのことには明確に答えることが出来ません。
そのことを考慮してこの先の文章を読んで下さると幸いです。

ほぼすべてのひとにお薦めできる本と言えるでしょうか。
読者初心者は純粋に感動できるでしょうし、玄人は奥の深さに気がつくかと思います。
…中級者は物足りなく感じるかも知れません。
物語自体は非常に選び抜かれた言葉で書かれているような気がします。
単語単語が人物を豊かにしますし、何より、主人公の心の様子がわかりやすいです。
主人公とヒロイン以外一人だけしか名前が出てこないところを見ると、本当に二人だけにスポットを当てた恋愛小説といえるでしょうか。
だからこそ余計なものがない(複線は除く)純粋さが見えてくるのかも知れません。
それに主人公とヒロインの心が重なり、物語全体から雰囲気が漂ってくるようです。

値段は1400円と、このタイプの本にしては多少高価ですが、読んでみたい人にとっては手頃な値段でしょうか。
是非ともお勧めします。
私の価値観を変えた一つの作品ですから。

ただ、個人的に残念なのは、後書きが無いこととタイトルが作者の手によって付けられたものではない、と言うことでしょう。
これだけが本当に残念です…。

ただ、一つだけいえることがあります。
一部では感動すると言う意見や、薄い、という意見があるようですが、この物語は深く読むことによって、色々な物が見えてきます。
一言で言うならば、『読み手を選ぶ』小説です。
ふつうの読者は感動するでしょうし、本をよく読む人は薄いと思うでしょう。しかし、本を読みこなす人にとっては…さらにその奥に見える物があります。
本というのは、批評に流されて買うのではなく、偶然の出会いによって買う物だと私は思います。

現に、この本ですら、私は読み終わってから、その評判を知ることになりました。

どの本でもそうですが、評判を聞き、ステレオタイプを形成してしまうと、作品はつまらなくなってしまうのです。
純粋な心で本を読んでみませんか?

情報

著者名: 片山 泰一
出版社: 小学館
タイトル: 世界の中心で愛を叫ぶ
ISBN: ISBN-4-480-80360-2
価格: 1400円

初出: 2003年9月21日
更新: 2004年7月2日
鈴響 雪冬