間違いやすい言葉・用法

 このコラムは鈴響雪冬のメモ代わりです。そのため、公開用の文章とは意味合いが異なりますので、その点をご了承下さい。
 言葉は常日頃変化していく物であり、初めは“誤用”でも使われるようになると“俗語”となりいずれは“常識”となり、最後には“正当”な意味になり得ます。しかし、ニュースや雑誌では俗語と使うことは一般に好まれず、それは小説という分野に当てはまることもあります。作者の意向によりますが、俗語や誤用を避けたい場合、言葉の今現在の正しい使い方に常日頃から気をつける必要があります。そう言う意味でのこのページです。

重複表現系

みぞれ交じりの雪

 霙交じりの雪、と言う言葉をよく見かけるが、重複表現である。

霙 [みぞれ] 【名詞】
  1. 空中で溶けかかった雪と雨が混じり合って降るもの
  2. かき氷に蜜をかけた物

 霙という言葉にはすでに『雪と雨が混ざった物』という意味があるため、『霙交じりの雪』は重複表現となる。

違和感を感じる等

 感、には、感じるの意味があるため、“違和感を覚える”や“違和感がある”、“違和を感じる”とする。

誤用系

王道、常道、正道、定番

王道
  1. 王を中心にした政治。孟子が説いた政治。
  2. 安易な道、近道、楽な道。
    (例)学問に王道はない。
常道
  1. 人として守るべき道、道徳。普遍の道。
  2. 一般原則にかなった普通のやり方。
正道
人としての正しい道。道理にかなった正しい生き方、歩み方。
定番
(メーカーの商品管理番号が変わらずに残り続けることから)流行に左右されることなく、一定の価値を保っている物。定番商品。

 『トランスの王道』と使ってしまった場合、トランスの安易な道と言うことになり、誰でもまねできてしまうような陳腐なトランスになってしまいます。

恋は盲目

 『恋をすると周りが見えなくなる』という意味で用いられることが多いが、本来の意味は違う。ギリシャ神話で恋の神エロス(キューピット)が目隠しをしていて、闇雲に矢を放ちその矢先に当たると人が恋に落ちるとされていた。『恋は何時始まるか分からない』という事を刺している。

看護師、看護士

 男女の職名が統一される前は『看護婦・看護士』だったが、統一されてからは『看護師』になっている。一部の報道番組では未だに『看護士』としているほか、 Windows 付属の MS-IME すらも『看護士』と変換してしまうため、パソコンに変換を頼っている人は未だに間違えたままで、そのことに気が付いていない。
 ただし、現場では『看護婦』の期間が長かったため、現場の人たちも『看護婦』と言ったりする。病院の小説を書く場合には、年長者に看護婦と言わせ、新人には看護師と言わせると、リアリティーが出るかも知れない。
 自己矛盾するが、最近は徹底した教育のため、現場でも看護師と呼ぶようになってきている。

 参考までに、看護師の階級表。なお、病院によって異なるのでその辺りは自己責任で。ただし、これが一般的な形だと思われる。

  1. 総看護師長(総師長)。最近では、『総看護局長』とする病院が増えてきたらしい。
     旧名、総看護婦長、旧略称、総婦長)。看護師長を束ねる看護局の中で一番偉い人。位の上では医師長と同じ立場だが、現場では医師の意見が尊重させることが多いため、仲違いが絶えない。公務員の場合、同じ師長でも、医師長の方が給料が一ランク上(のはず)。
  2. 副看護師長(副総師長)。最近では、『福総看護局長』とする病院が増えてきたらしい。
     旧名、副看護婦長、旧略称、副総婦長。総看護師長の直下の人員。複数人で構成されることが多い。病棟(入院施設)からあがってくる各科(産科や小児科など)の勤務表(いわゆる勤務スケジュール)をチェックする。ここからの上のランクは現場から離れ、看護事務局へ入る。
  3. 看護師長(師長)。
     旧名、看護婦長、旧略称、婦長。 いわゆる中間管理職で、一番辛い仕事かも知れない。30歳後半~50歳ぐらいの人が多い。

     病棟の各科を束ねる看護師長。外科、内科、泌尿器科などの科ごとに一人ずつ存在する。混合病棟の場合まとめられた科で一人(産婦人科や耳鼻咽喉科などの事で、二つ以上の科が混ざっていても看護師長は一人)。病棟は、看護師長、主任、看護師、(産科は助産師も)、看護助師といった人員で構成されるが、その中で一番偉い人。主任を直下に置き、主任はその科で働く人(看護師、助産師、看護助師)を束ね、看護師長は直下の主任とその下の看護師などを束ねる。混合病棟のばあい、主任が複数いることもあるほか、看護師達も班に別れていることが有る。

     外来の看護師長の場合、外来全体(全ての科)を一人の看護師長が束ねる。外来の各科は主任が束ね、外来の看護師長は外来の主任全てを束ねる。外来全体を見渡す必要が多いため、注射センターなどと言った全ての科に関係ある科に所属していることが多い。

  4. 看護主任。
     病棟でも外来でも現場を束ねる人。直上に看護師長をおき、直下に看護師や看護助手を有する。
  5. 看護師。
     お馴染みの職業。看護師はあくまで看護であるため、直接治療に携わることができない。標語として『入れるのは医者、抜くのは看護師』という言葉があり、傷口を縫い合わせるのは医師の仕事で、縫い合わせた糸を抜糸するのは看護師の仕事と覚えると楽である。本来注射なども医師が行うべき業務であり、看護師はやってはいけないが、人数不足のため、国は目を瞑っている状態であることも確か。
  6. 助産師。
     厚生大臣の免許を受けて、分娩を助け、また妊婦・褥婦・新生児に対する世話や保健指導を行うことを業務とする人。看護師は国家資格だが、助産師は厚生大臣が管理する公的資格。助産師の資格だけを持つ者と、看護師の資格を併せ持つ者が居るが、後者の方が修飾しやすいのは確か。
  7. 看護助手。
     看護師の資格を持たないものの、看護師の仕事をサポートする貴重な戦力。ベッドメイキングや掃除、備品の調達など、主に雑務をこなす。

おまけとして、食事について

 病院では病名に合わせた料理ではなく、患者が必要とする栄養配分を元に料理を決めています。栄養科という科がありますから、医師と栄養科の連絡によってメニューが決まります。アレルギーなどにももちろん配慮しています。
 主食によって料理を大別するなら、

 と言うように別れるかと思います。病院によってはもっと多かったり少なかったりするはずです。患者さんによっては食事で補えない分としてデザートが出ることもあります(全員に出る病院もあるかも)。
 目的別に分けるなら、

と言ったように別れるでしょう。実際はもっと多いかと思います。

極めつき

極め付き
 鑑定書がついていること。ついていることを示しているため、つけることはできない。すなわち、極めつけは誤用。

食べなそう

食べなそう
 食べることはないだろう。『さ』を入れて『食べなさそう』とすると、さ入れ言葉になり、意味が変わってくる。

笑みがこぼれる

笑みがこぼれる
 笑み → 笑う。笑いがこぼれる事であり、微笑むことではない。

役不足

役不足
役不足は『配役』が役を演じるべき人にとって足りていないこと。すなわち、相手の能力に対して役のレベルが低いこと。正しく使っているのに相手が誤認しているが為、トラブルになると言うことも実社会では良くある話。
 他にも、『情けは人のためならず』と言うのも、間違って認識されることが多い。何時か自分に返ってくる、と言う意味ですよ~。

足をすくわれる、足下をすくわれる

足をすくわれる
 『足下』は地面のこと。地面はすくえないので、『足をすくう』の方が正しい。
 ちなみに、『足元を見る』という言葉は、足によって出来る影(その人の映し出す本質、闇の部分)を見ること。靴を見てその人を評価することではない。

ブロマイド

ブロマイド
bromide

ご苦労様です、お疲れ様です

 ご苦労様は大名が部下に対して仕事を終えたときに言った言葉。よって、目下の人に使う言葉。上司に対して使うと………。

売ってある

 辞書が売ってなかったので百科事典を買った。

 違和感を覚えることができますか? 辞書が売ってなかった、『辞書』と言う人が何を『売っていなかった』のでしょうか。本屋で辞書が売られていなかった、とするのが正しいです。

不思議の国のアリス

 どうして『不思議な国のアリス』じゃないんですか?

ご教示、ご教授

 教えを請うのは『教示』の方ですから、ご教授くださいよりは、ご教示くださいとするのが正しいようです。

障害者・障碍者

 “光になりたい”では『障碍』を採用している。

活を入れる、喝

 活を入れる、は、『たるんでいるところに気合いを入れること』。“喝”は叱ること。なお、座禅を組んでいるときにやるのは“喝”である。“喝”の場合は、入れるのではなく、“渇を叫ぶ”とする。

女好き

 女が好きという意味で使われることが多いが、女の人が好く、つまり、女の人に好かれそうな人、と言う意味。そろそろ現代的な意味合いに取って代わるかな?

他力本願

 仏教用語で言う他力本願における他力とは阿弥陀仏の力のこと。阿弥陀仏の事を信じろと言う意味であって、他の人任せにすると言うことではない。そろそろ現代的な意味合いに取って代わるかな?

現代の日本語

こだわり

 以前は良くない意味として用い、『そんな小さいことにこだわるなよ』と言う文章で用いていた。
 今日では、良い意味で使うようになり、『こだわりを持って作り上げる』と言う文章は、細かなところにも気を配って作り上げると言う意味になる。

貴方

 以前は敬語であり、目上の人に対して使う言葉であった。
 今日では、どちらかというと、立場を同じくする人か目下の人に使う単語となった。

 なお、貴様(きさま)も元々は敬語。

全然

 色々と議論がある『全然』の用法だが、このような形でまとめておくと今のところは良いかもしれない。

全然
  1. 「完全に」と言い換えられるもの。
     『それは全然貴方が悪い』など。比較的古い用法。
  2. (下に否定的な表現を伴って)全面的な否定を表すもの。「ちっとも」「まるで」「全く」と言い換えられるもの。
     『意味が全然分からない』『全然良いところがない』『全然違う(=同じでない)』など。現在で最も多い使われ方。
  3. 【俗語】 聞き手の懸念を強く否定するもの。「貴方の懸念とは反対に」と言い換えられるもの。
     『全然面白い(=貴方の懸念とは反対に面白い→面白くないんじゃないか→面白いじゃないか』と相手に対して使う言葉。
    • 特定の懸念を含まない質問に答えるときに使う場合は、2の用法に当てはまる。
       『「できますか?」「全然(できません)」』。
    • 特定の懸念を含む場合、3の用法に当てはまる。
       『「こんなところでできないんじゃないですか?」「全然(できます)』。否定疑問系に対する否定形の答えになる。『「~できないよね?」「全然(できるよ)」』。 
  4. 【俗語】 比較構文で程度の差が大きいことを表す物。「断然」「遥かに」などと言い換えられる。
     『こっちの方が全然いい』など。「断然」の混同と思われる。

未来の日本語

なにげに

 『何気なく』の形容詞形。

縦書きのガイドライン

漢数字

 いい加減統一しないといけないような気がしてきたので、ここにメモ。

西暦
二〇〇五年
和暦
平成十五年
年月日
十二月十八日
一般
 二桁までは全て桁取り。三桁以降は万ごとに桁取り。
  • 二十五
  • 三〇〇
  • 一〇〇〇
  • 四〇〇〇
  • 五万
  • 五万一二〇〇
初出: 2005年1月28日
更新: 2005年1月28日
著作: 鈴響 雪冬
制作: 鈴響 雪冬
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