Top > 読み物 > 副産物 -コラム- > アンケート『こんな長編小説サイトに出会いたい』への個人的見解
2003年11月23日の日記を元に2004年2月12日、再編成。2013年3月21日に日記で触れたため、24日にリライト。
2003年8月15日から10月31日まで『長編恋愛小説同盟』にて行われたアンケート『こんな長編小説サイトに出会いたい。』の集計結果を基にした個人的見解です。なお、現在はアンケートの結果を閲覧することはできません。
まずは、集計結果です。
順位 | 投票内容 | 得票 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | 定期的に更新があり、完結する。 | 122 | 36.6% |
2 | 更新頻度や速度はともかく、とにかく話が完結する。 | 27 | 8.1% |
3 | 行間やテーブル幅がほどよく指定してある。 | 23 | 6.9% |
4 | いくつかの実績(完結済みの作品)がある | 18 | 5.4% |
5 | ダウンロード版がある。 | 17 | 5.1% |
- | 描写が個性的で、何度読み返しても目に面白い。 | 17 | 5.1% |
7 | サイトデザインがシンプルかつセンスがある。 | 13 | 3.9% |
8 | あまり懲りすぎずわかりやすい。 | 11 | 3.3% |
9 | 文字の大きさが固定されていない | 10 | 3.0% |
10 | 作者の温かさが感じられるサイト | 9 | 2.7% |
11 | 作品外での作者の主張が強すぎない | 8 | 2.4% |
12 | キャラクターに「すっ」と、入りこめる | 7 | 2.1% |
13 | 適切なあらすじがついている | 6 | 1.8% |
14 | 音楽が鳴らない | 5 | 1.5% |
15 | NEXTリンク等が上下どちらにもある。 | 4 | 1.2% |
- | トップから1~2クリックで更新分が読める | 4 | 1.2% |
- | 小説がキャラクターの魅力に頼りすぎていない | 4 | 1.2% |
- | 適当な長さ(章)で区切られている | 4 | 1.2% |
19 | トップページがシンプルで軽い | 3 | 0.9% |
- | 教師との恋愛モノ | 3 | 0.9% |
- | 長編、短編両方がある | 3 | 0.9% |
22 | しおり機能がある | 2 | 0.6% |
- | メニュー欄か本文の最上部に各話のリンクがある | 2 | 0.6% |
- | 一言メールフォームがついている | 2 | 0.6% |
- | 行く度に目に新しいサイト | 2 | 0.6% |
- | 純粋に小説メイン | 2 | 0.6% |
- | 途中からでも読めるようになっている | 2 | 0.6% |
28 | PDAでも読めるサイト | 1 | 0.3% |
- | 作品ページ直リンクOKのサイト | 1 | 0.3% |
- | 様々なジャンルを手がけている | 1 | 0.3% |
以上の集計結果を基に、独断と偏見で分類を行いました。本来「分類」というのは統計や因子解析などを元にして行うのが筋だと思うのですが、得られたデータが上の得票数と得票率だけですので、私の方で関連がありそうな物同士を適当にまとめてみました。
まず、真っ先に目が向くのは「定期的な更新」や「完成させること」、「完成させた実績」といった、新作・更新・完結など、作品の発表に関する事柄でしょう。特に1位の「定期的に更新があり、完結する」は、得票率が2位の4倍以上という圧倒的な大差をつけて1位になっています。このことからも、安定した更新速度や、ちゃんと作品を完成させるといった部分を読者は気にしているようです。
「完成」という言葉があることを考えると、完結しないまま閉鎖・凍結・失踪するサイトが多いことが何となく読み解けます。そう言った行為は、今まで作品が好きで通っていたサイト(の管理人)に対する後味を悪くするのでしょう。だからこそ、「完結する」と、あえて記述されていると推測されます。
個人が趣味で書いている以上、様々な事情により連載が中断することは多々ありますし、ウェブは特にそういう傾向が強いかもしれませんね。
次に多いのがサイトのデザイン、構造に関する物です。トップ5の項目は1つしかありませんが、行間や小説に辿り着くまでのクリック数、小説ないでの章の移動など、その項目は多岐に渡っていることが分かります。
これは、一定の読みやすさを保証されている出版物とは異なり、管理人ごとにデザインへの考え方が大きく異なることに起因していると思います。「こんな文字の大きさでどうやって読むんだろう」と思ってしまうようなサイトはたくさんあります。今でこそ少なくなりましたが、何年か前はとても小さな文字をフラッシュでスクロールさせているような小説サイトも見受けられました。
私自身の考えですが、やっぱり小説の主役は言葉であり文章です。その文章を読みづらいサイトというのは少し距離を置いてしまいたくなります。
また、長編小説サイトということから、長期連載になりがちで、何度もサイトに通うことになります。当然、何度と無くそのサイトのデザインを見る機会にさらされるので、そう言った面も反映しているかもしれません。
3つめの作品の傾向については個人の趣味が大きく反映されるため一定の方向性を見いだすことは私には出来ませんでした。しかし19位に唯一シチュエーションを固定された項目があるのがとても気になりますね。
4つめについては、付加価値とでもいうのでしょうか、サイトや小説だけではなく、それらを読む上でこうなってくれたら便利だなという物をまとめてみました。
アンケートが行われた当時はネットへの常時接続環境はまだ余り普及していなかったこともあり、一度ダウンロードしてオフラインでじっくり読むという意見も多々見られたように思えます。今時の形に置き換えるのなら、スマフォでの閲覧に最適化されたファイル(例えば電子書籍で広く一般的に用いられるファイル形式)のダウンロード版を用意するといった方向で活用できそうです。
まず、得票率からも明らかなとおり、読者が最も気にしている部分は「定期的な連載があって、小説が完結すること」でしょう。
逆説的ですが、定期的な連載を行っているサイト、いくつもの完結作品が置いてあるサイトは人気サイトであることが多いように思えます。少し話は変わりますが、定期的に新刊を出しているサークルも人気サークルであることが多いように思えます。
そして、『読みやすさ』を求める声も強いです。
ウェブは見た目が重視されることが多い上に、手軽にデザインを弄ることが出来ることもアリ、こういった意見が強いように思えます。自分でサイトを作っている人は出来るだけ見やすいように、レンタルブログなどで手軽にデザインを弄れないような場所でも、幾つかのサービスの中から見やすい物を選ぶといった配慮が必要なのかもしれません。
また、単純に見た目だけではなく、作品まですぐ辿り着けるか、目次はわかりやすいかといった、操作性も重要でしょう。もしかしたら、読みやすさよりも使いやすさのほうが大事なのかもしれません。
趣味で書いている以上、連載が滞ることもあれば、自分好みなサイトを作りたい時もあります。でも、多くの場合、作品をウェブに掲載している人は、心のどこかで「読んで欲しい」と思っているのではないでしょうか。ただ乗っけているだけだしとは言いつつも、ウェブという場所を選んでいる以上、読んで欲しい、感想が欲ししと思っていると私は思います。
だからこそ、読者が手軽に、また「面倒」、「見づらい」などと思わせない程度の、配慮が必要だと思います。
長編小説サイトに求められているのは、作者の読み手に対する心遣いなのかもしれません。